勝ち名乗りを受ける高安=両国国技館(撮影・土谷創造) 大相撲秋場所5日目(16日、両国国技館)東前頭筆頭の豊昇龍(22)は秋場所5日目の16日、国技館到着後に「急性へんとう炎」と診断され、急きょ休場した。新型コロナウイルスのPCR検査は「陰性」だった。東前頭2枚目北勝富士(29)も「右膝内側側副じん帯損傷」の診断書を提出して休場した。幕内で2番続けて不戦敗となるのは、22年ぶり6度目の異例の事態となった。新横綱照ノ富士(29)は平幕霧馬山(25)を寄り切り、5戦全勝とした。
「不戦勝」の懸垂幕 =両国国技館(撮影・戸加里真司)■38度発熱「急性へんとう炎」 幕内の土俵入りが終わり、新横綱照ノ富士の横綱土俵入りが始まる直前にその一報は伝わった。
国技館に姿をみせていた豊昇龍が、国技館内の相撲診療所で診察を受けた結果、「急性へんとう炎」と診断され「約2日の自宅療養を要する」との診断書を提出して、休場が決まった。芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、38度ほどの発熱があったという。
豊昇龍=2021年7月18日、名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(代表撮影)取組を編成する審判部では、すでに6日目の取組を発表しており、豊昇龍は宝富士との対戦が決まっていた。だが、取組を再編成する「割り返し」が行われ、5つの取組がかわった。師匠の立浪親方(元小結旭豊)によると、この日朝に発熱がありPCR検査を受けて「陰性」だった。豊昇龍が「相撲を取る」と希望したため国技館入りしたが、頭痛がおさまらなかったと説明。「審判部にご迷惑を掛けて申し訳ない」とし、様子をみて再出場するという。
北勝富士=2021年5月23日、両国国技館■5000人観客へ「申し訳ない」 この日の午前中には北勝富士の休場も発表されており、豊昇龍の休場によって幕内後半戦で組まれていた「北勝富士-隆の勝」「高安-豊昇龍」が2番続けて不戦敗となる異例の事態に陥った。幕内での2番連続不戦敗は、平成11年春場所11日目「□平幕寺尾-大関千代大海■」「□平幕栃乃洋-横綱貴乃花■」以来22年ぶり6度目の珍事。
豊昇龍は、傍若無人な振る舞いで数々のトラブルを起こして引退した元横綱朝青龍のおい。なにか違ったはからいはできなかったか。藤島審判部副部長(元大関武双山)は打ち出し後、コロナ禍で緊急事態宣言が延長されたなか、足を運んでくれる1日上限約5000人の観客に対し、「お客さんに申し訳ない」と口にした。(奥村展也)
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