東京五輪1次リーグで3連敗し、会場を引き揚げる藤田(手前)ら日本代表

東京五輪の勝者と敗者に勝負の舞台裏を聞く不定期連載の第5回は、ラグビー7人制男子日本代表の藤田慶和(27)=埼玉パナソニックワイルドナイツ=が登場。12チーム中11位と不本意な成績に終わった大会を反省し、主将を務めた松井千士(ちひと、26)=横浜キヤノンイーグルス=との裏話も明かした。

思い描いた結果からは程遠かった。15人制で2015年W杯イングランド大会も経験した藤田にとって初の五輪は、まさかの1勝止まり。約1カ月が経っても、悔しさが消えるはずはない。

「言い訳できない。僕たちの実力不足」

1次リーグで前回金メダルのフィジー、銀メダルの英国に連敗。とくに英国戦は0―34の惨敗だった。

「タックルの部分、ブレークダウン(タックル後のボール争奪)の精度を上げないと、(世界レベルの)土俵には立てない」

カナダにも敗れ、3連敗で決勝トーナメントに進めず。順位決定戦でも結果を残せず、負ければ最下位だった韓国戦での勝利が精いっぱい。試合後、涙をこらえきれなかった。

長い5年間だった。前回リオデジャネイロ五輪は直前に代表から落選し、バックアップメンバーとして帯同した。今大会で主将を務めた松井もその一人。リオ五輪後の宿舎では「東京五輪は2人で活躍しよう」と誓い合った。今年6月の代表発表でともに名を連ね、合宿先の廊下でがっちり握手を交わした。雪辱を果たす舞台は、整ったはずだった。

藤田は今後、9月中旬にも所属する埼玉パナソニックワイルドナイツに戻り、15人制での活動を再開する。来年1月に開幕するラグビーの新リーグ、リーグワンでの活躍を目指す。7人制からはいったん離れるが、情熱は捨てていない。

「韓国戦が終わった瞬間、自分の中でメダルを目指したい気持ちが素直に湧いてきた。この気持ちを大切にしたい。五輪に出ることがゴールじゃない。すごく悔しかった。もう一回、メダルに挑戦したい」

五輪の借りは、五輪でしか返せない。パリでのリベンジへ、静かに闘志を燃やす。(阿部慎)

★女子バスケから刺激

藤田は他競技から刺激を受けたという。中でも銀メダルを獲得したバスケットボール女子日本代表では、早大時代の同級生である本橋菜子(27)が活躍。快進撃を見せた女子バスケに、「世界と身長差がある中、自分たちの個性を生かして、素晴らしい勝利を収めた。もう1回、五輪で戦いたいという思いになった」と発奮材料になった。

藤田 慶和(ふじた・よしかず)

 1993(平成5)年9月8日生まれ。27歳。京都府出身。小3からラグビーを始め、福岡・東福岡高に進学して1年から活躍。3年で7人制日本代表入り。早大に進学して、15人制日本代表入り。埼玉パナソニックワイルドナイツ所属。通算31キャップ。184センチ、90キロ。


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