第1走者の多田(右)が懸命に右手を伸ばすが、第2走者の山県にバトンが届かない。受け渡し区間を越えた2人は脚を止めた

東京五輪第15日・陸上(6日、オリンピックスタジアム)男子400メートルリレー決勝で2016年リオデジャネイロ五輪銀メダルの日本は多田修平(25)=住友電工、山県亮太(29)=セイコー、桐生祥秀(25)=日本生命、小池祐貴(26)=住友電工=で臨み、1走から2走へバトンが渡らず途中棄権した。

攻めの姿勢が裏目に出た。男子400メートルリレー決勝。大外9レーンからの逆襲を狙った〝リレー侍〟は、代名詞のアンダーハンドパスで痛恨のミスを犯した。第1走者の多田から第2走者の山県へバトンが渡らない。30メートルのテークオーバー・ゾーン(受け渡し区間)を過ぎ、まさかの途中棄権に終わった。

多田は「つながらなかったのは僕の実力不足」と自らを責め、山県は「勝負にいった結果。受け入れるのは時間がかかる」と声を沈ませた。

予選は手堅いバトンパスに徹したとはいえ、決勝進出チームで最も遅い8番手の38秒16。金メダルを目指したチームは一転して勝負に出た。山県はスタートの間合いを予選より早め、よりスピードに乗った状態でバトンを受けようと試みた。

男子400メートルリレーでまさかのミスが出た日本の(左から)小池、桐生、山県、多田は涙を浮かべながらインタビューに応じた

多田は「渡すときに山県さんが遠い距離にいた。自分が減速していたのかもしれない」と悔やんだ。バックストレートのトラックで首を垂れ、桐生や小池から声を掛けられるまで動けなかった。

山県によると、予選後はそれぞれのスタートのタイミングなどをチーム全体で見直した。改善したバトンパスは、練習では成功していたという。金メダルを獲得したイタリアの37秒50に匹敵するタイムが出る手応えをつかんでいた。

銀メダルを獲得した前回リオデジャネイロ五輪では、100メートルで9秒台の記録を持つ選手はいなかった。一方、この5年間で桐生を皮切りに4人が10秒の壁を破った。それでも100メートルと200メートルでは日本勢6人全員が予選敗退に終わった。

世界に現実を突きつけられ、山県は「次に生かすしかない」と努めて前を向いた。(鈴木智紘)

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