空手女子 形の決勝で破れ、引き揚げる清水希容=日本武道館(撮影・松永渉平)

東京五輪第14日・空手(5日、日本武道館)女子形で、清水希容(27)=ミキハウス=が銀メダルを獲得。小学3年から大学卒業まで清水を指導した園山昌枝さん(47)が、サンケイスポーツに手記を寄せた。

希容、銀メダルおめでとう。予選から躍動感のある希容の良さがしっかり出せていて、ひとつひとつに気持ちがこもった心に残る形でした。ここまでたくさんの試練があったと思います。目標にしていた金メダルに届かなかったけど、その経験をできたのは日本の女子形では清水希容一人だけです。しっかり胸を張って今後につなげてほしいと思います。

初めて会ったのは希容が小学3年生のころ。当時は細くておとなしい子。目立ってなにかがあったという印象はありませんでしたが、ここまでの力をつけてこれたのは、誰にも負けたくないという強い気持ちと、努力し続ける力を持っていたからだと思います。

中学生のころから、道場の後輩たちの面倒を見てくれたり、私たちの指導のお手伝いをしてくれるようになりました。希容の目標が全国レベルになり、真剣な練習態度も後輩たちの見本となるものでした。

全国のトップをめざすようになってからは、自分の気持ちをノートに書いていましたが、負けるとノートの表にも裏にも文章ではなく『悔しい』『絶対に負けなくない』などの言葉が書き連ねてありました。「1番じゃないと嫌なんです」と私に悔しさをにじませながら伝えてきたとき、この負けず嫌いの気持ちが希容を強くさせる力になると感じ、底知れぬ力を持っている選手だと感じていました。

糸東流(しとうりゅう)の形の動きの特徴は、パワーだけで表現するのではなく、それぞれの体格に合った動きの中で、無駄な力や動きを入れず、しなやかさや、スピード、キレを出せるところです。数年前から国際大会で悔しい敗退が続くようになりましたが、それは自分の苦手な部分や習得できていないことに取り組むようになり、そのバランスが難しく希容らしい動きが出せていなかったからではないかなと思っています。

希容の良さは体から弾け出るようなパワーや、空気を切るようなスピードとキレ。国際大会の連戦、思うように動けなかったその苦しい時期を、よく乗り越えて、最初で最後かもしれない五輪で、これが日本の形、希容の形だというものを見せてくれました。

小学生から大学を卒業するまでの指導にあたった13年間ほど、何事も諦めない気持ちの大切さや、周りへの感謝の気持ちを大切にするということを伝えてきました。

五輪メダリストであっても、これからもひとりの人間です。そのメダルが、これからの希容にとっても周りの人にとっても良いものとなるように、素晴らしい人生を歩んでほしいと願っています。

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