修徳戦で力投する関東第一の先発・市川祐=1日、東京ドーム(鴨志田拓海撮影) 第103回全国高校野球選手権大会(9日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は1日、3都府県で計4試合が行われた。東東京大会準決勝ではプロ注目の関東第一・市川祐投手(3年)が自己最速152キロをマーク。12奪三振、3安打完投で、4-1で修徳を下した。大阪大会では大阪桐蔭が3年ぶり11度目、広島大会では広島新庄が5年ぶり3度目の出場を決めた。2日には東、西東京大会決勝が行われ、49代表校全てが決定する。
■リリースするとき〝ピシッ〟という音」
いきなり東京ドームをざわつかせた。一回。関東第一のエース、市川が先頭打者へ投じた4球目が152キロを計測。自己最速を一気に6キロも更新した。
「立ち上がりから飛ばして、いけるところまでいくつもりだった。指に掛かる感覚、リリースするときに〝ピシッ〟という音もしていた」
152キロは決して偶然の産物ではない。6月から重さ3キロのダンベルを親指、中指、人さし指の3本だけで持って、上下させる〝指トレ〟を繰り返した。その成果は如実に表れ、大会前の測定で1分間あたりの回転数が約2000から2400以上に。プロ野球投手の平均が2200回転といわれる中で、初速と終速の差がない打者の手元でホップする伸びるボールを手に入れた。四回にも151キロをマークするなど序盤に火の玉ストレートを見せたことで、中盤以降に多投したスライダー、チェンジアップが効いた。
修徳に勝利し、ベンチに引き揚げる関東第一ナイン=1日、東京ドーム(鴨志田拓海撮影)■余裕の120球完投
「変化球も切れていたし、今までの中で一番に近いぐらい良かった」
12奪三振、3安打1失点で余裕の120球完投。四谷中1年時に巨人-DeNA戦を東京ドームのエキサイトシートで観戦したことがあり、「筒香嘉智選手(現ドジャーズ傘下3A)の大きさに驚いたのを今でも覚えています」と笑った。
プレーボール直前。市川はドームの天井を見上げ、「おまえの分も頑張るから、天国で見てて」と祈った。中学時代に所属していた「新宿シニア」のチームメート、竹山翼さんが高1の時にがんで他界していたのだった。昨夏は帝京との決勝戦で延長十一回にサヨナラ打を浴びた市川。亡き友に、もう悔し涙は見せられない。(東山貴実)
◆市川 祐(いちかわ・たすく)
2003(平成15)年8月23日生まれ、17歳。東京・新宿区出身。四谷小4年から野球を始め、四谷中では新宿シニアに所属し、中3時には日本代表として全米選手権決勝にも登板。関東第一高では1年夏の2019年に背番号11で甲子園メンバー入りし、準々決勝・履正社(大阪)戦で1回無失点。2年秋の新宿戦ではノーヒットノーラン。球種は直球、スライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップ、スプリット。184センチ、84キロ。右投げ右打ち。
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