延長十回、サヨナラ満塁本塁打を放った佐藤は絶叫した(撮影・矢島康弘) 第103回全国高校野球選手権大会(8月9日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は30日、3都県で計5試合が行われた。東東京大会準々決勝では修徳が延長十回の末、4-0で小山台にサヨナラ勝ちした。プロ注目の最速146キロ右腕・床枝魁斗投手(3年)が3安打、15奪三振で完封。佐藤大空外野手(2年)がサヨナラ満塁本塁打を放った。
床枝は15奪三振と安定感が光った(撮影・矢島康弘)雨ニモマケズ、雷ニモマケズ…。5回戦・日大豊山戦(28日)でサヨナラ本塁打を放った修徳・床枝が、今度は東東京屈指の右腕として141球の熱投で本領を発揮した。
「きょうはスライダーが決まっていたし、中盤はカットボールも多投しました」
雨が降りしきる中で始まった試合で付け入る隙を与えなかった。2度の4者連続を含む計15奪三振。許した安打は単打のみわずか3本。九回2死からこの日最速となる145キロを計測するなど圧巻の内容だった。
最大のピンチは雷による8分間の中断直後の延長十回だった。2四球と制球を乱して1死一、二塁。ここで再び雷鳴がとどろき、今度は18分間の中断。その間に、床枝は「疲れからか、頭が突っ込んで右足のためがなくなっていた」と、ベンチ裏で体重移動を意識したフォームを再確認。再開後は2球続けてスライダーでストライクを取る冷静さも取り戻し、後続を断った。
視察に訪れた日本ハム・多田野スカウトも「雷も含めて何度も崩れそうな要素はあったが崩れない。精神的に強い投手。これは鍛えて鍛えられるものではない。投球に関して言えば、右打者のアウトコースへのスピンの効いた球筋がすばらしいね」と絶賛した。
修徳入学後に本格的に投手に挑戦し、球速は20キロ以上アップして最速146キロ。まだまだ伸びしろを感じさせる。
8年ぶりの夏の聖地に向けて、チームスローガンは「甲子園しかない」--。準決勝の相手は2019年夏の優勝校で今春王者でもある関東第一。絶対エースは「関東第一を倒すためにやってきた。やっと、その土俵に立てる」と腕をぶした。(東山貴実)
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