五輪連覇の偉業を果たした大野(左)は井上監督に祝福された

東京五輪第4日・柔道(26日、日本武道館)男子73キロ級の大野将平(29)=旭化成=が五輪2連覇を果たした。2016年リオデジャネイロ五輪後、天理大大学院体育学研究科に進学。29ページに及ぶ学位論文「柔道『大外刈』の効果的な施技方法に関する研究-オリンピック選手の指導に活用するために-」を書き上げた。得意技の大外刈りを研究することで、日本柔道の奥深さを知り、伝統を引き継ぐ思いを強くした。

金メダルを獲得した2016年リオデジャネイロ五輪後、大野は約1年間、畳から離れた。得意の大外刈りを研究対象とした修士論文の制作に着手。18年1月に完成し、学術研究に裏付けされた自信を得た。

「ここまで1つの分野に絞って研究するのは初めての経験だった。稽古だけをしていたら気づけなかった部分があり、人間的な成長があった」

自身の動画解析をはじめ、練習拠点とする母校天理大に在籍する後輩部員約52人に「受け」などで協力してもらった。柔道の総本山、講道館(東京)にも足を運び、文献を読みあさった。

大野の指導教員でもあった1984年ロサンゼルス五輪男子60キロ級金メダリストの細川伸二教授(61)は「柔道の技は(一般的に)『崩し・作り・掛け』と教えられる。だけど大野が自分の動きを分析したら、そうではなかった。(大野ら)トップ選手はまず作りと崩しが一体型となり、直後に掛けていた」。大野は同じ感覚が記される書物もみつけた。

技術研究を重ねる中で、講道学舎、天理大と前回の東京五輪の関わりを詳細に知った。柔道が五輪で初めて実施された64年東京大会の無差別級で、神永昭夫を破ったアントン・ヘーシンクが柔道を深く学んだのが天理大だった。オランダの巨人が鍛錬した日々のもようを学び、母国五輪への思いを一層強くした。

「現代のルールに対応しつつ、古き良き日本柔道の軸を守って柔道をやれている。柔道への研究は終わらない」と大野。全ての経験を聖地の畳に生かし、最高に輝いた。(石井文敏)

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