開会式であいさつするIOCのバッハ会長=23日、国立競技場

■7月25日 俗に「スピーチとスカートは短い方がいい」と言われる。元はお笑いネタのようだが、古くは英国のチャーチル首相の名言にも似た表現がある。スカートについては異論が出そうなので、この際、脇に置くとして、スピーチは概して短い方が聴く人の心にも残るのではないか。

かくいう小欄は、スピーチが大の苦手。やむをえないとき、すがるように読む本がある。元TBSのフリーアナウンサー、生島ヒロシの「心に響く名スピーチのコツ&実例集」(日本文芸社)だ。その冒頭、「スピーチは3分でも長すぎる。できれば1分以内」と簡潔に分かりやすく話すことが重要と説く。

この本の内容をIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長にも事前に教えてあげたかった。周知のようにバッハ会長は23日の東京五輪・開会式でスピーチ。現在のコロナ禍で「一層の連帯が必要」などと約13分も呼びかけた。直前にスピーチした東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長と合わせ当初9分の予定が、2人で約20分も費やしたという。

特に、バッハ会長は日本語の同時通訳を通じ「連帯」を14回も連呼。日本人に対しては先日、中国人と言い間違えた負い目もあるせいか、日本語をまじえて「感謝」を少なくとも6回は繰り返した。たとえ心のこもった言葉でも、人は何度も言われるとうんざりする。そのせいもあってか、小欄はテレビを見ながら「長いなあ」とため息が出た。

会場のアスリートの多くも同じ思いだったのではないか。しかも、式典が3時間以上過ぎた後の午後11時すぎからの独壇場。元フェンシングの金メダリストとは思えぬ“自分ファースト”に深い疲労感を覚えた。(森岡真一郎)

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