左から上野、千賀、菅野。鴻江氏(右)が主宰する合宿に参加し、刺激し合った(鴻江氏提供)

東京五輪のソフトボールは、全競技に先駆けて21日午前9時開始の日本-オーストラリア(福島・あづま球場)で幕を開ける。野球日本代表の千賀滉大投手(28)=ソフトバンク=らとともに、2007年からソフトボール日本代表のエース、上野由岐子投手(38)=ビックカメラ高崎=をトレーナーとして支える鴻江寿治(こうのえ・ひさお)氏は、その仕上がりに太鼓判を押した。(取材構成・武田千怜)

「上野の413球」と2008年北京五輪で伝説を残したエースは、衰え知らず。22日に39歳の誕生日を迎えるが、その鉄腕ぶりは健在。07年から日本の大黒柱、上野を近くで見守る鴻江トレーナーも驚くほどだ。

「すごく仕上がっていますよ。あのとき(2008年北京五輪)よりも全然スキルは上がっていますし、球速も出していないだけで、もっと出ると思います」

ソフトボールが五輪競技から除外されていたこの13年間。歩みを止めることなく進化を続けた上野の姿には、プロ野球界の2大エースもうなった。昨年1月、上野は福岡・久留米市内にいた。オフシーズンに鴻江氏が主宰し、毎年行われる合宿に参加。上野と千賀はこのキャンプの常連メンバーで、巨人の菅野智之投手(31)はこの年初めて加わった。

1キロの下り坂を走るトレーニング。自身の体をコントロールすることが難しい下りをさっそうと駆け抜ける上野を見て、初参加の菅野は目を丸くしていたという。鴻江氏は「菅野くんと千賀くんが『37歳であれだけ走れるか?』『いや、たぶん走れないと思います』『すげぇよな。あんな快適な顔をして、地獄の下り道を走るなんて』と会話していました」と明かした。

他競技のトップ選手からも一目置かれるレジェンド。「きのうの自分よりも成長する。それを続けられる人」と鴻江氏は上野を言い表す。球場で自分の投球と向き合うのはもちろん、宿舎に戻ってからもシャドーピッチングをしながら、フォームについて意見交換。深夜まで続くのが当たり前だという。

東京五輪は7日間で最大6試合を戦う過密日程で、登録3人の投手陣にかかる負担は大きくなるが、上野の肉体について鴻江氏は「13年分、経験を積んでいますから、それだけ強くなっています。1試合も落とせない戦いが続きますが、1週間持つ体ができています」と太鼓判を押した。大舞台で、鉄腕が再び伝説を残す。

上野 由岐子(うえの・ゆきこ)

 1982(昭和57)年7月22日生まれ、38歳。小3でソフトボールを始める。福岡・九州女高(現福岡大若葉高)から日立高崎(現ビックカメラ高崎)。日本のエースとして出場した2004年アテネ五輪で銅メダル、08年北京五輪で金メダル。世界選手権は12年と14年に優勝。16年に日本リーグで史上初となる通算200勝を達成。右投げ右打ち。174センチ。

鴻江 寿治(こうのえ・ひさお)

 1966(昭和41)年、福岡県生まれ。学生時代に肩を故障したのをきっかけに、さまざまな施術を勉強し、自ら復活。その後トレーニングのノウハウを学び「鴻江理論から生まれた骨幹理論」を確立した。ゴルフ、陸上、サッカー、相撲などのトップアスリートのアスリート・コンサルタントとして活躍。第1、2回WBC日本代表、アテネ五輪野球、北京五輪野球・ソフトボール日本代表などに、パーソナルトレーナーとして帯同した。


この記事をシェアする