東京五輪の会場「伊豆ベロドローム」と富士山をバックに、梶原は笑顔で金メダル獲得を誓った (撮影・土谷創造)

東京五輪の自転車トラック種目、女子オムニアム代表で2020年の世界選手権を制した梶原悠未(かじはら・ゆうみ、24)=筑波大大学院=が11日、オンライン記者会見に出席し、頂点への自信を示した。勝負の舞台「伊豆ベロドローム」を拠点に練習を積む世界女王は、金メダル獲得の「夢を実現します」と決意のメッセージをサンケイスポーツに寄せた。(取材構成・武田千怜)

金メダルのイメージは仕上がった。8日に本番前最後の合宿が終了。気温30度を超える沖縄で追い込み、真夏の暑さに対する耐性も万全。この日、オンライン会見に臨んだ梶原は自信に満ちていた。闘志みなぎる目には一点の曇りもない。

「(2020年の)世界選手権優勝時よりも強くなることができた。今はすごく落ち着いていて、どっしり構えている。ワクワクと自信にあふれています」

これまで東京五輪の会場である静岡・伊豆市の「伊豆ベロドローム」を拠点に練習を積んできた。開幕が近づくにつれて、屋外には倉庫が建ち、客席は増えていった。イメージトレーニングを大切にする世界女王は、徐々にできあがっていく会場を間近で目撃し「金メダルのイメージを膨らませるのにとても有効的な材料になった」と地の利を存分に生かして、五輪に乗り込む。

座右の銘は「有言実行」。「金」を宣言した回数は1000回を優に超える。金メダルを強く意識するための〝おまじない〟があるからだ。帰宅すると立ち上がれなくなるほど追い込む過酷なトレーニング中。伊豆の国市の「二宮神社」を通過するたびに必ず金メダル獲得を誓う。

「いつも見守っていてくれてありがとうございます。東京オリンピックの女子オムニアムで金メダルを獲得します。見守っていてください」

練習で利用する山を上り始めてから3分。息が切れた状態で、全力でペダルを回しながら、心の中で力強く唱えている。世界女王の座をつかむ約1カ月前の20年1月から習慣化。1度の練習で最低でも5回は通過するといい「練習中の宣言をルーティン化することで『これは金を取るための練習なんだ』と再認識できる。練習の質も強度も自然に上がります」とコロナ禍でもモチベーションを維持。自信を深めた。

梶原は「女子オムニアムで金メダル!!」と、決意のメッセージを色紙に記入。金メダルを首にかけた自身の姿も描いた

新型コロナウイルスの影響で多くの会場が無観客開催となる中、伊豆ベロドロームは数少ない有観客の会場。「たくさんの声援を力に変えたい」と力を込めた。頂点を狙う女子オムニアムは大会最終日の8月8日に行われる。「日本選手団の金メダル数を最後に1つプラスしたい」。真夏の祭典のラストシーンは梶原が締めくくる。

★金ネイル

梶原の「金」への執念は他にも。普段からレース前にはネイルを施し、気持ちを高めており、東京五輪の勝負ネイルは「金色のラメカラーにしようと思う」と「金」を携えて挑む。〝凱旋(がいせん)〟のイメージも万端。拠点の伊豆の国市の住民がかけてくれる「応援団だから」との声が原動力で「金メダルを持って近所の家を回り、笑顔で写真を撮るイメージまでしています」と思い描いた。

◆オムニアムとは

自転車トラック種目の複合競技。250メートルのトラックで、1日4種目を行い、種目ごとの成績がポイント換算され順位が決まる。

★第1種目・スクラッチトラックを30周し、着順を競う。

★第2種目・テンポレース(30周)5周目以降、各周回のトップに1点が入る。1周先行して集団に追いつく「周回アップ」で一気に20点が加算される。

★第3種目・エリミネーショントラックを80周。2周ごとに最下位が脱落し、最後の2人は一騎打ちで着順を競う。

★第4種目・ポイントレース(80周)10周ごとに順位によるポイント(1位は5点、2位は3点…4位は1点)を得る。周回アップで20点。

梶原 悠未(かじはら・ゆうみ)

 1997(平成9)年4月10日生まれ、24歳。埼玉・和光市出身。筑波大坂戸高から筑波大に進み、昨年4月から筑波大大学院。高1で自転車を始め、10カ月後の全国高校選抜で3冠。16年にシニアに転向し、17年12月のW杯第3戦のオムニアムで日本女子初優勝。20年2月の世界選手権で日本女子初の金メダル。155センチ、56キロ。太もも回りは61センチ。


この記事をシェアする