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大坂なおみ アラカルト&東京五輪への軌跡~過去の特集を再録~

四大大会でともに2勝を挙げている全豪オープン、全米オープンと同じ得意のハードコートで、金メダルが期待されている、東京五輪代表の大坂なおみ(23)=日清食品=。サンケイスポーツでは数多く特集を展開してきた。当時の記事を紹介する。(年齢、肩書等は掲載当時のまま)。

■生まれ 1997(平成9)年10月16日。大阪市出身。3歳から米国で育つ。

■経歴 姉・まりの影響で3歳から競技を始めた。プロ転向は2013年。ツアー初優勝は18年3月のBNPパリバ・オープン。ツアー通算7勝。通算獲得賞金(21年5月時点)は1980万927ドル(約21億5900万円)。

■四大大会 18年全米オープンで、四大大会シングルスで男女を通じて日本勢初制覇。続く19年全豪オープンで四大大会2連覇を達成。全豪後に男女シングルスを通じてアジア勢初の世界ランク1位となった。コロナ禍で中断されたツアー再開後最初の四大大会となる20年全米オープンで3度目、21年全豪オープンで4度目の優勝。

■抗議マスク 20年全米オープンでは、黒人被害者の名前が刻まれた黒のマスクを着用し、人種差別への抗議の意思を示した。

■世界で最も影響力のある100人 20年9月に米誌タイムが発表。2年連続の選出となった。

■20年度アスリート長者番付で女子1位 米経済紙フォーブスが発表。年収3740万ドル(約40億円)は女性アスリートの史上最高額。

■ローレウス・スポーツ賞 世界で活躍したスポーツの個人、団体に贈られる賞で、21年の年間最優秀女子選手賞に輝いた。男女を通じて最優秀選手賞は日本初の快挙。

■スポンサー 日清食品、ナイキ、ANA、ヨネックスなど10社以上と契約を結ぶ(21年5月時点)。

■ルイ・ヴィトン 21年1月にブランドアンバサダーに就任。

■家族 ハイチ出身で米国人の父、レオナルド・フランソワさん、日本人の母・環(たまき)さん、元テニス選手の姉・まり。

■アニメ 日本で大流行した「鬼滅の刃」に熱中。アニメを全て見て、漫画も読破した。人気少年漫画「NARUTO|ナルト|」も好き。

■ゲーマー 「マリオカート」が得意。20年5月に行われたテニスのオンラインゲーム大会で、錦織組と対戦した。

■恋人 米国人ラッパーのコーデー。

■好きな食べ物 うなぎ、焼き肉、すし。

■サイズ 180センチ、69キロ。

大坂なおみ

【全米オープン】日本テニス史上初の快挙達成!! 女子単決勝で大坂なおみ(20)=日清食品=が、憧れだった元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ(36)=米国=に6-2、6-4で勝ち、初制覇を果たした。四大大会単では男女を通じて日本勢初Vとなり、優勝賞金380万ドル(約4億2180万円)を手にした。日本選手が1916年に初めて四大大会に挑戦してから102年。ついに夢を実現した。

◆サーブで揺さぶり

快挙をたたえる手拍子とブーイングの嵐が交錯する。異様な雰囲気が漂った全米のフィナーレで、大坂はセリーナと抱き合った。単では日本勢初の四大大会制覇。競技を始めた3歳の頃から憧れる絶対女王の胸で、歴史に名を刻んだ挑戦者が涙に暮れた。

「みんな彼女(セリーナ)のことを応援していたと思う。こんな終わり方をしてすみません。試合を見てくれてありがとう」

約2万4000人の観客が地元・米国のスターを後押し。圧倒的なアウェーでも、日本のエースは落ち着いていた。

「セリーナはスロースターター。出だしは積極的にいく。走らないといけない覚悟はできていた」。第1セットは軽快に動いて返球。第1サーブには時速30キロもの差をつけて揺さぶり、昨年9月の出産後で体力に不安を抱える難敵の打ち急ぐミスを誘った。

第2セット。第4ゲームでブレークを許すも、続く第5ゲームでブレークバック。大坂の粘り強いプレーに、女王のいらだちは頂点に達した。ラケットをコートにたたきつけ、主審に暴言を吐く。第7ゲーム終了時の暴言が3度目の警告となり、大坂は第8ゲームを戦わずに奪った。度重なる中断に激しいブーイング。荒れた展開でも途切れなかった集中力が、快挙を手繰り寄せた。

◆1916年初参戦

日本の四大大会単初制覇への挑戦は、102年前までさかのぼる。四大大会初参戦は、全米オープンの前身の1916年全米選手権。男子の熊谷一弥は2回戦、三神八四郎は1回戦で敗退した。その後、全仏、全豪、ウィンブルドン4強の佐藤次郎、全豪4強の沢松和子、全米以外の全ての四大大会4強の伊達公子、ウィンブルドン8強の松岡修造、全米準優勝の錦織圭らが四大大会の王座に挑んできた。大坂は日本勢の夢でもあった四大大会制覇を、わずか11度目の出場で成し遂げた。

◆世界ランク7位に

金字塔を打ち立てても、試合後の大坂はありのままだった。夜のお祝いの予定を問われれば、「社交性のある人間じゃない。ビデオゲームはやるかも」。ハイチ出身で米国人の父の姓(フランソワ)でなく、母方の姓を名乗る理由を聞かれれば、「大阪で生まれた人の名字はみんな『オオサカ』なの」。お決まりのジョークで笑いを誘った。

大会後の世界ランキングで自己最高7位に上昇し、日本女子では1995年11月に伊達公子がマークした4位に次ぐ歴代2位となる。日米の国籍を持つ大坂は母・環(たまき)さんの生まれ故郷の日本代表として、2年後には大好きな東京での五輪が待ち受ける。「まだ実際に起きたこととは思えない。何日かたてば実感すると思う。一歩ずつ進んでいきたい」。新たな歴史をつくった日本のエースはまだ20歳。しばらくは夢見心地でいる。

■3歳で米移住 15歳でプロに

ハイチ出身で米国人の父・レオナルドさんと日本人の母・環(たまき)さんとの間に生を受けた大坂は、3歳でラケットを握った。出身は大阪市中央区。自宅近くの靱(うつぼ)テニスセンターで、現在はプロ選手の姉・まりとともに競技経験のない父の手ほどきを受けた。

3歳で米国に移住し、ニューヨークで暮らした。専門のクラブやアカデミーで育つ選手が大半だが、大坂は全米の会場に隣接する金銭のかからない公営コートをかつての練習場とした。

8歳で拠点をフロリダへ。大坂姉妹は国際連盟主催の世界ジュニアツアーには出場せず、あえて一般の試合に出て腕を磨いた。ジュニアではなく、シニアの試合で経験を積んだ米国のウィリアムズ姉妹が手本だった。

2013年に15歳でプロ転向。16年には男子の錦織と同じ日清食品と所属契約を結んだ。今年3月のBNPパリバ・オープンでツアー初優勝を飾り、その後のマイアミ・オープンで初対決したセリーナを撃破。自身11度目の四大大会となった全米で、ついに頂点に立った。

■父の出身地ハイチでも生中継

大坂の父親の出身地、カリブ海の島国ハイチでも偉業をたたえる声が広がった。中南米の最貧国とあってテニス選手の人口は少ないが、ゆかりのある大坂の活躍は地元メディアが連日大きく報じ、試合も生中継された。報道によると、モイーズ大統領は「ハイチもこの偉業達成の大きな喜びを共有している」と祝福した。

大坂なおみ© AFP7 via ZUMA Wire



【全豪オープン】なおみ時代の到来だ!! 女子シングルス決勝で第4シードの世界ランキング4位、大坂なおみ(21)=日清食品=が第8シードの世界6位、ペトラ・クビトバ(28)=チェコ=を7-6、5-7、6-4で下して日本勢初の優勝。昨年9月の全米オープン初制覇に続く四大大会2連勝を成し遂げた。大会後に男女シングルスを通じてアジア勢初の世界ランキング1位となることも決定。優勝賞金410万豪ドル(約3億2000万円)を獲得した。

一度は流した悔し涙を糧に、最後は歓喜で瞳をぬらした。メルボルンでのラストシーンを締めくくったのは、自慢のサーブだった。5-4で迎えた最終セット第10ゲーム。40-15から、センターへ放った一打でクビトバのラケットをはじいた大坂が、しゃがみこんで目頭を押さえる。全米女王となってからわずか4カ月半。2時間27分に及ぶフルセットの末、四大大会2連勝で、世界1位を決めた感慨に浸った。

「まだ信じられない。ただ、プレーに集中していた。勝つことを夢見てきた」

ツアー148戦の中で左利きとの対戦は過去8度しかない。しかも、相手はウィンブルドンを2度制した名手で、初対戦だった。勝った方が世界1位となる対決の第1セットは、182cmのサウスポーが放つ角度あるサーブに手を焼いた。今大会自身初のタイブレークに入り、ようやく相手のサーブでコースを読んでライン上に強烈なバックハンドのストレート。会心のリターンエースで流れをつかみ、押し切った。

第1セットを奪うとここまで59連勝。必勝パターンに持ち込んだはずの第2セットはよもやの展開になった。5-3で迎えた相手サーブの第9ゲーム。3度のマッチポイントを握りながら5連続失点でこのゲームを奪われた。1万5000人で埋まった会場に、平常心を失いかけた21歳の金切り声が響く。ボールを地面にたたきつけ、目に涙を浮かべた。セットを落とすと、タオルで顔を覆いながら一度コートから引き揚げて気持ちを切り替えた。

大観衆の歓声から遠く離れ、自らを律した。全米を制した誇り、マークが厳しくなる中で年上の好敵手をなぎ倒してきた自信が背中を押した。「マッチポイントを失ったけど、ちゃんと現実と向き合わないと。とにかく力を出そう」。弱点の克服へオフに強化したフットワークは最後まで衰えない。第3セットは先にブレークに成功。かつてなら一気に崩れていたような展開で踏みとどまった。16年大会で予選を勝ち上がって初めて四大大会本戦出場を決めた舞台で、成長を示した。

四大大会通算23勝を誇り、37歳となったセリーナ・ウィリアムズ(米国)にかつての絶対的な強さはない。一昨年と昨年のグランドスラム女王はいずれも異なる。今大会の開幕前には、結果次第で世界1位になる可能性のある選手が11人もいた。まさに群雄割拠の時代。日本のエースは2014-15年に全米からウィンブルドンまで4連勝したS・ウィリアムズ以来、14大会ぶりの四大大会2連勝を飾り、男女を通じてアジア勢で初めて世界1位に上りつめた。

「世界ランキング1位は私のゴールではない。(5月下旬の)全仏オープンも優勝したいし、どのトーナメントでも勝ちたい」。表彰式では恥じらいながらトロフィーに口づけし、記念撮影に応じた。まだあどけない一面も持つ21歳が、真夏のメルボルンで、新時代の幕を開けた。

大坂なおみ


【全米オープン】 全米女王に返り咲き!! 女子シングルス決勝で、世界ランキング9位の第4シード、大坂なおみ(22)=日清食品=が、同27位のビクトリア・アザレンカ(31)=ベラルーシ=に1-6、6-3、6-3で逆転勝ち。人種差別への抗議マスクで注目される中、全米の決勝では26年ぶりとなる逆転で、2年ぶり2度目の優勝を果たした。四大大会は2019年全豪オープン以来3度目の制覇。復権を果たした全米女王が東京五輪での金メダル獲得へ加速する。

ニューヨークの夜空を見上げた。1時間53分の激戦を制し、勝利の雄たけびをあげた大坂が、無観客のセンターコートであおむけになった。女王の帰還をたたえる歓声や拍手はない。静寂の18秒。2年ぶり2度目の頂点に立った22歳が静かに喜びをかみしめた。

「多くの偉大な選手たちが優勝した瞬間、(コートに)倒れ込んで、空を見上げてきた。どんな景色が見えるのか、私も同じ空を見たいと思った。信じられないくらい素晴らしい瞬間だった」

壮絶な打ち合いだった。第1セットは全豪2連覇で元世界1位、アザレンカの左右に揺さぶるショットに苦戦。「緊張で脚が動かなかった」と凡ミス13本。1-6で落としたが「頑張り続けるしかない」と切り替えた。0-2の第2セット第3ゲームから反撃。スライスなどで崩しにかかる相手に、ツアー中断中に鍛えたフットワークで食らいつき、厳しいコースに強打を打ち続けた。

全米の女子シングルス決勝で第1セットを失ってからの逆転優勝は、1994年にアランチャ・サンチェス(スペイン)がシュテフィ・グラフ(ドイツ)に1-6、7-6、6-4で勝って以来、26年ぶり。オープン化された68年以降では8度目。歴史に残る逆転劇を演じ、優勝賞金300万ドル(約3億1800万円)を獲得した。

「これまでは簡単に心が弱くなっていたけど、本当に戦いたい、闘争心を燃やしたいと思えた」

優勝した過去2度の四大大会決勝のように第1セットを先取し、押し切る形が得意だったが、この日は後半に粘り強さを発揮。初優勝した2年前の全米の自分を「赤ん坊」、2019年の全豪の自分を「5歳」と表現していた大坂。「今は完璧に近い」と胸を張った。

全米終了後の世界ランキングで3位に浮上する。日本勢トップで東京五輪出場は確実だ。大坂の復調に、日本テニス協会の土橋登志久強化本部長(53)=写真下=は「東京五輪で金メダルを取れるポテンシャルがあることを示してくれた」と期待した。日本と米国の二重国籍だった大坂は、法律で期限とされる22歳の誕生日までに日本国籍を選択。全米女王が日本代表として東京五輪で金メダルを目指す。

マスクにメッセージを込めた。人種差別への抗議の意思を示すため、黒人被害者の名前が刻まれた黒の“抗議マスク”を決勝までの試合数と同じ7枚準備した。最後の7枚目は、14年に警官の発砲を受けて12歳で死亡した黒人少年のタミル・ライスさん。「私のマスクを見て、話し合いが起きればいい」。今年の全米はコロナの影響で中断したツアーの再開後、初の四大大会。多くのトップ選手が欠場する中、人種差別撤廃への思いも背負って戦い抜いた。

前哨戦で負傷した左太もも裏に不安を抱えながらも、四大大会3勝目。李娜(中国)を抜いてアジア勢で単独最多となった。「毎日が新しい挑戦でした。来年もこの舞台に帰ってきたい」。大坂から女王の風格が漂った。

テニスの全米オープン女子シングルスで2年ぶり2度目の優勝を果たし、トロフィーを掲げる大坂なおみ=12日、ニューヨーク(AP=共同)


世界ランキング3位の大坂なおみ(23)=日清食品=が、同24位のジェニファー・ブレイディ(25)=米国=に6-4、6-3で勝ち、2年ぶり2度目の優勝を果たした。四大大会制覇は4年連続4度目。四大大会第1戦を制し、優勝賞金275万豪ドル(約2億2800万円)を獲得した。今夏に東京五輪が開催される2021年シーズン。同一年に五輪と四大大会の5冠を取る「年間ゴールデンスラム」へ好発進した。

◆77分快勝劇

両手にラケットを握りしめ、子供のように飛び跳ねた。張りつめていた緊張感から解き放たれ、大坂が屈託のない笑顔を浮かべる。大歓声で沸く真夏のメルボルン。女王は観客席で見守ったベルギー人コーチのウィム・フィセッテ氏(40)と握手を交わした。

「夢のようです。チームに感謝する。隔離を一緒に乗り越えた家族のような存在。みんなが喜んでくれてうれしい」

強打が武器のブレイディと激しく打ち合った。第1セットの第1ゲームは、2連続でサービスエースを決めるなど、ラブゲームでキープ。好スタートを切ったが、決勝は簡単には勝てない。「互いにナーバスだった」と硬くなった。

ファーストサーブが決まらず苦戦したが、要所でギアチェンジ。フォアハンドが得意な相手のバック側に球を集めて武器を封じ「完璧なプレーでなくても乱れないようにした」と冷静だった。最後は自慢のパワーサーブでブレイディのラケットをはじき、77分で快勝。四大大会の準々決勝以降では、2018年の全米から無敗の12連勝とした。

オフに課題だったリターンを強化した。コロナ禍で開催された今大会。選手や関係者は感染防止のため、メルボルン入り後、14日間の隔離措置が取られた。外出可能な時間は1日わずか5時間。限られた時間の中でフィジカル、技術の向上に努めた。コロナ禍で生じた時間に自分を見つめ直し、今では試合前に不安や緊張を仲間に打ち明け、自分の弱さと向き合うすべを身につけた。

東京五輪イヤーの四大大会初戦を制し、金字塔への挑戦権を獲得した。日本協会の土橋登志久強化本部長(54)は「(四大大会と五輪のタイトルを取る)ゴールデンスラムも視野に入る戦いぶり。(行動が制限される見込みの東京五輪でも)対応できる。金メダルのチャンスが出てきた」と絶賛。1988年にシュテフィ・グラフ(当時西ドイツ)しか成し遂げていない、同一年に四大大会全てを制し、五輪でも金メダルを獲得する「年間ゴールデンスラム」の期待が膨らむ。

◆大坂時代だ

準決勝で憧れのセリーナ・ウィリアムズ(39)=米国=にストレート勝ち。昨夏から自己最長の21連勝(棄権による不戦敗は除く)で、大坂時代の到来を強く印象付けた。5月開幕の全仏をへて「最大の目標」と語る東京五輪に挑む。「また四大大会で優勝できて、最高の経験になった。来年も戻ってこられるといい。五輪でも活躍したい」。23歳が新時代を築く。



テニスの全豪オープン女子シングルスで大坂なおみ(23)=日清食品=が、パワフルかつ正確なショットを武器に今年最初の四大大会を制した。ラケットのストリング(糸)を張るストリンガーとして、今大会で初めて大坂をサポートしたヨネックスストリンギングチームのトーマス・スティルウェルさん(32)=カナダ=が、サンケイスポーツの書面インタビューに応じた。ストリングを通して分かる全豪女王の強さの秘密を明かした。 (取材構成・武田千怜)

◆初サポート

大坂の進化が止まらない。圧倒的なパワーに、正確無比のショットが加わり、全豪を制した。象徴的なショットが飛び出したのは、世界ランキング14位のムグルサ(スペイン)との4回戦。相手にマッチポイントを握られた最終セットの第9ゲームだった。

大坂は191キロのサービスエースをセンターライン際にたたき込んだ。今大会最大の窮地を救った正確なパワーショット。この究極の一打は、大坂のパワーを生かすラケットのストリング(糸)選択が、後押しして生まれた。

「大坂選手は体格に恵まれ、優れたパワーを持っている。ラケットの(球をとらえる部分である)ストリングは、そのパワーを有効に生かす(縦と横の)組み合わせになっている」

全豪を含むメルボルンの8大会をサポートしたヨネックスストリンギングチームの一員で、大坂を担当したスティルウェルさんが明かした。

体幹が強化された2019年シーズン。大坂は進化したプレースタイルに合わせ、縦糸と横糸の組み合わせを見直した。縦糸は四大大会初制覇を果たした18年全米時と同じ耐久性とコントロール性に優れたポリエステル素材だが、より重い球が打てるヨネックス社製の「ポリツアーストライク」に変更した。

横糸はナイロン素材だったが、パワーを伝えやすい牛の腸を使った天然素材のナチュラルガットにチェンジ。パワーをダイレクトに伝え、「より重いショットをコントロールできることで、大坂選手の優れたパワーが生きる」と持ち味のパワーがより引き立つようになった。

ストリンガー歴13年の職人は、女王の用意周到さに舌を巻く。一般的に試合に持ち込むラケットは、糸を引く強さを一定にそろえる選手が多い。だが、大坂は状況によって使い分けるため、球が飛びやすくなる糸を緩めに張ったラケットと、飛びにくくなる強めに張ったラケットの2種類を用意し、試合に臨む。「事前準備の周到さを感じる」とスティルウェルさん。大坂は“相棒”にもこだわり、全豪女王を奪還した。

【大坂なおみTALK】

■「トロフィーをあなたたちにささげます」 1カ月の“コロナ隔離”支えてくれたチームに感謝

(コート上での優勝スピーチで)

「私のチームは1カ月以上、一緒にいて隔離を乗り越えた。試合前に緊張している私の話を聞いてくれる。トロフィーをあなたたちにささげます」

(試合後の会見で)

--振り返って

「最後の点を取った時は震えた。今夜はメンタル戦。両方ともナーバスになっていた」

--世界ランキングが2位に浮上する

「考えていない。大会でいい結果を出すことが大事」

--過去の四大大会優勝と気持ちは違ったか

「前回は地位を確立したくて感情を抑えていた。今回の全豪はパンデミックの中、試合ができて幸せで平和な感じだった」

--昨年の全米オープン準決勝で戦った相手だった。あの時と比べて

「精神面での戦いになった。お互い緊張していたと思う。私は特に緊張していた。試合前、いいプレーはできないかもしれないと言い聞かせた。全てのポイントで戦おうと考えた。精いっぱいトライした」

--ロールモデル(手本)とみられることについて

「強い責任があるし、プレッシャーはあった。メディアからも注目されるし、ナーバスになった。ラケットを壊してはいけないとか。他にもロールモデルになるべきテニスプレーヤーがたくさんいるので、自分らしくしたい」

テニスの全豪オープン女子シングルス優勝から一夜明け、トロフィーを手に記念撮影に応じる大坂なおみ=21日、メルボルン(共同)

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