ロッテで通算112勝を挙げ、引退後に投手コーチ、2軍監督、スカウト部長などを務めた木樽正明氏(73)は、プロ2年目の佐々木朗希投手(19)に大きな期待を抱いている。選手時代に腰を痛めた苦い経験を踏まえ、球団の逸材育成にも注視。最速163キロ右腕が故障せず太く、長く活躍できるよう願っている。
待たれる逸材のプロ初登板。木樽さんは令和の怪物佐々木朗の活躍に期待を抱いている。
「大事に育てないと。これだけの才能を持ったピッチャーを育て上げるのは、一番の仕事だと思う。故障というのも、ひとつの駄目になる大きな要素なんです」
銚子商(千葉)の甲子園準優勝右腕としてロッテに入団し、通算112勝を挙げた木樽氏の現役生活は11年だった。腰の痛みが限界に達した引退時は、まだ29歳の若さ。腰は入団2年目のシーズン後半から痛み出した。
当時は抑え。連投に次ぐ連投で「プロ2年目の私の体は、まだ大人になりきっていなかった。強い体になっていなかったのが故障した原因」と振り返る。エースとしてリーグ優勝した70年に21勝(10敗)、翌71年に自己最多の24勝(8敗)と活躍したが、選手時代は医者に完治しないといわれた腰痛との戦いでもあった。
自身の苦い経験から、若手の故障防止には細心の注意を払う。
「高校時代は1球だけ163キロを投げて、メディアに大きく取り上げられる。プロではそれを平均で投げていかないといけない。だからあのまま1軍で投げていたら、肩と肘がパンクして故障するのは目に見えていた。プロはレベルが違う。1球投げるにしても相当な負担があるわけです」
昨季1、2軍通じて公式戦未登板の佐々木朗は2年目の今季、4月2日からイースタン・リーグで3試合に先発。中6、中10日と間隔をあけてマウンドに上がっている。
「いつまでも温室に入れるわけにはいかないから。今は外に放してもいいくらいの状態にしているわけでしょ。今後は精神面を含めてガンガンと鍛えて。そういう時期が来るでしょう」
佐々木朗の今季1軍デビューは確実視されている。木樽さんは高校時代からさらに成長した最速163キロ右腕の快投を、期待している。(山口泰弘)
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