全米各地で新型コロナウイルスのワクチン接種が急速に進んでいる。米疾病対策センター(CDC)によると、28日(同29日)の時点で接種を終えたのは人口の約3割で、少なくとも1回接種した人は4割を上回るという。
大リーグ界にもその波は達している。マンフレッド・コミッショナーは27日(同28日)、選手、球団スタッフのうち約70%が新型コロナウイルスのワクチンを最低でも1度は接種したと公表した。大リーグは85%以上がワクチンを接種したチームに対し、感染防止規定を緩和しており、米メディアによるとヤンキース、ホワイトソックス、カージナルス、タイガース、アストロズなどがすでにほぼ完了しているという。
ワクチン接種の進展に伴い各球場では観客動員数の引き上げや規制緩和も進み始めた。ドジャースタジアムでは24日(同25日)ワクチン接種者のみのセクションを試験的に設置。マスク着用は義務付けられるが、観客同士が社会的距離を取る必要がないという。またブレーブスでは本拠地トゥルーイスト・パークで5月7日(同5月8日)から収容人員の100%で観客動員する予定となっている。またニューヨークのデブラジオ市長も29日(同30日)、7月1日をめどに約1年4カ月ぶりに経済活動を完全に再開することを公表。ヤンキースタジアムやシティーフィールドも100%で観客動員が可能になる。米主要スポーツの観客動員はレンジャーズが上限を設けず、4月5日に開催していたが、ほとんどの球場やアリーナでは制限が続いていた。
一方でワクチン接種が体調に影響した選手もいる。レイズの筒香嘉智選手(29)はワクチンの副作用で体調を崩し29日(同30日)新型コロナウイルス関連で負傷者リスト(IL)入りした。エンゼルスの大谷翔平投手(26)も同様に数日間体調を崩したことを明かしたが、パドレスのダルビッシュ有投手(34)は開幕投手を務めた1日(同2日)の試合後に接種。「具合が悪くなっている人もいたけど、自分は本当に何もなかった」と振り返っていた。またアストロズのアルテューベ内野手は1回目のワクチン接種後の検査で陽性反応を示したことを公表するなど副作用は選手によって大きく異なっている。
今季開幕時にはナショナルズで複数の選手が新型コロナウイルスに感染し3試合が延期。同様にツインズでも複数選手が新型コロナウイルスに感染し3試合延期するなど、懸念は残っている。ワクチン接種のタイミングも慎重に計る必要はあるが今後安全に進み、大リーグが完全復活する日はそう遠くないと期待している。(竹濱江利子通信員)
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