小早川氏(右)は入団1年目の1984年に新人王を獲得。同年MVPの衣笠氏に祝福された 東京など4都府県は昨年に続き、緊急事態宣言下でゴールデンウイーク(GW)を迎えた。一昨年まではどの球場も満員になって盛り上がっていたが、今年は入場者の上限が設けられ、東京ドーム、神宮、甲子園、京セラドームに至っては無観客。ファンも選手も残念だろう。
昔から、各チームはGWを開幕からの一つの目安にして、いい形で終えたいと思っている。試合数が増えた今でこそ開幕は3月下旬だが、2000年までは4月の1週目が多かった。対戦が一回りした頃にGWを迎えるので、出遅れたチームは巻き返しを図り、好調なチームはさらに勢いをつけようとした。
基本は9連戦で、投手のやり繰りが大変だ。加えてデーゲームとナイターが入り交じり、体調管理が難しい。デーゲームは寝不足で戦っていると思ってもらってもいい。それでも気持ちが入ったプレーが多く出る。
私は広島に入団した1年目(1984年)のGWが思い出だ。5月3日に本拠地で行われた阪神戦で、「6番・右翼」で初の先発出場。試合前、阪神・掛布雅之さんと広島・衣笠祥雄さんの会話をぼんやりと聞いていると、掛布さんの「明日はどこですか?」という質問に、衣笠さんは「東京でデーゲーム。行けなかったら、どうするのかなあ」と答えていた。
広島は翌4日から、後楽園球場で巨人との3連戦。阪神戦が終わるとすぐに移動するのだが、トラブルで交通機関が止まる可能性がある。セで最も長い「広島→東京」の移動で、「デーゲーム→デーゲーム」が組まれていたのだ。「プロは移動のことも心配しないといけないんだ。お客さんのためにプレーするんだもんな」と実感した。
無事に東京へ移動後、GW最終日の6日の巨人戦で4試合ぶりに先発を外れたが、五回に代打で加藤初さんからプロ初本塁打となる同点2ランを放った。これをきっかけに次の試合から「3番・一塁」が定位置となり、新人王まで獲得できた。
今年のGWは日本ハムが5月2日に札幌ドームで西武とのデーゲームを終えた後、翌3日にZOZOマリンでロッテとのデーゲーム。体調に気をつけて頑張ってほしい。(本紙専属評論家)
この記事をシェアする