日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)は29日、東京都内で定例会合を開き、5場所連続休場中の横綱白鵬(36)に対し、昨年11月場所後の横審で決議した「注意」を継続することが確認された。出席委員7人(1人欠席)の満場一致。横審の決議事項には厳しい順から「引退勧告」「注意」「激励」があるが、重い決議は見送られた。
白鵬は4場所ぶりに出場した春場所では初日から2連勝したが、昨年8月に手術した右膝の状態が悪化。3日目から途中休場し、場所中に2度目の手術を受けた。
矢野弘典委員長(80)=産業雇用安定センター会長=は(1)全休した1月の初場所は新型コロナウイルス感染でやむを得ない(2)春場所には出場意欲を示した(3)7月の名古屋場所で進退を懸ける決意を示している-3点を考慮したと説明した。
白鵬の師匠、宮城野親方(元幕内竹葉山)が「本人は名古屋で最後を懸けると言っている」と明言したことを受け、横審では八角理事長(元横綱北勝海)に状況の確認を要請。同理事長が師匠を呼び出し、詳細を聞き取った。矢野委員長は「覚悟を持って7月に臨むと言っていることが確認できた」とし、名古屋場所の結果をみて最終判断するという。
白鵬は5月に稽古を再開する見込みで、同月の夏場所出場は厳しい見通しだが、横審では一定の理解も示された。史上最多44度の優勝を誇る横綱が進退を懸ける意思を明らかにしたのは初めて。土俵人生最大の正念場は先送りされた。(奥村展也)