キャンプの練習中に笑顔を見せる森下龍矢(名古屋提供) 今季J1名古屋に移籍した東京五輪日本代表候補DF森下龍矢(23)が24日までに、オンラインでインタビューに応じた。昨季J1鳥栖で定位置をつかみ、33試合に出場。今夏の五輪本番に向けて試合でのアピールが必要となる中、あえて定位置争いが厳しいチームへの移籍を決断した裏には、信念があった。(取材構成・山下幸志朗)
サッカー少年がそのまま大人になったように、目を輝かせ、そう言った。「W杯で優勝したい」。今季からJ1名古屋に移籍したDF森下の言葉だ。
「出られるところでやり続けるのは、僕のやり方じゃない」
昨季、J1鳥栖でプロ1年目ながら右サイドバック(SB)で33試合に出場。活躍が認められ、昨年12月にはU-23(23歳以下)代表候補合宿に初招集された。五輪出場に向け、試合でのアピールが必須となる最後の半年を前に、あえてSBの定位置争いが厳しい名古屋へ移籍を決断した。
その裏には、明大時代に行った就職活動があった。幼少期にはサッカーゲームで国旗を覚えるなど、サッカーを通して海外への興味を深めてきた。当時Jクラブからのオファーもあったが「海外で何かをしたいというのは、企業でもできる」と広い視野で将来を選択するため、大学3年の10月から就活を開始した。
「日本を代表して海外で活躍したい」。その思いから、外国に支社がある日系企業を大小問わず片っ端から受けた。大手損害保険会社から内定ももらったが「最後に企業かサッカー選手でサッカー選手を選んだ」。安定を捨て、Jリーガーの道を選んだ。
「選択を迫られたときは『チャレンジしに、この業界に進んできたんだ』と毎回、思い出している」
退路を断ち、厳しい選択をした経験は、森下の道しるべだ。サッカー選手としての目標は、海外移籍とW杯優勝。「その過程に五輪は絶対にある」と、東京五輪出場は直近の目指すべき目標としている。
昨季はリーグ1位に並ぶ1試合42回のスプリントも記録。「守って走って、相手のゴールまで行って。次は自分のゴールまで走って戻って。それが僕の生きるプレー」。明大の先輩で同じくSBとして五輪に出場したDF長友佑都(マルセイユ)やDF室屋成(ハノーバー)のように、守備だけでなく、果敢な攻撃参加も森下の特徴だ。
今季の目標は「公式戦10得点」と掲げた。DFとして訪れる数少ないシュートチャンスを仕留めるシュートの質。そして、昨年12月のU-23(23歳以下)候補合宿で森保監督から伝えられた、ゴール前で待つ選手に合わせるクロスの質。2つの課題に、今は取り組んでいる。東京五輪まで約5カ月。まずは課題を改善し、名古屋でレギュラーに定着。そして、日本を代表して五輪本番のピッチを縦横無尽に駆け回る。
【一問一答】
--今季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)にも出場する
「バカか、といわれるかもしれないが、優勝したいです、ACLで。それでクラブW杯に出たい。世界のトップをJリーグにいながら超えていけるチャンスって、クラブW杯ぐらいしかない。それに向けてのモチベーションはすごく高い。絶対にACLで勝ちたい」
--名古屋に来て1カ月。考え方や、とらえ方が変わったことは
「めちゃめちゃあります。名古屋は手堅いサッカーで、勝つために泥臭く、どういう状況でも勝つチーム。勝ちから逆算した力強さは、文化だと思う。それが染みついたら、僕はすごいSBになれるんじゃないかと淡い期待を抱いています」
--『日本を代表して』と話していたが、A代表は入りたい場所
「夢ですよ、本当に。超、夢です。欧州でプレーするのも、もちろん日本を代表することの一つですけど、やっぱり日本代表でW杯を戦うのは全然違う。一個人じゃなくて、日本の代表なので、絶対に入りたい」
--何年後までに
「日本代表までの道筋は、全然立てていないですけど、海外には2年以内には、行きたいですね」
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