「きょうもブルペンで投げたけど、ほぼほぼ思いどおりに投げられた。ずっと感覚がいい」。携帯電話の向こうの声は、とても弾んでいた。自信に満ちあふれ、いきいきしている。昨年、タテジマを脱いだ福永春吾投手は今季、プロ入り前の古巣、徳島インディゴソックス(四国アイランドリーグplus)で再びプレーすることを決断した。目標は明確だ。NPBへの復帰である。
昨年12月のトライアウトではNPB球団からは声がかからなかった。まだまだ、プロで投げたい。諦めたくはない。日本でできないのならばと、海外のプロ野球も視野に入れて模索し続けた。しかしコロナ禍によって、海外でプレーするには状況は厳しすぎた。社会人チームからはオファーをもらった。終身雇用という好条件だったが、福永投手が目指しているのはあくまでもプロだ。そんな折、徳島から声がかかった。
「独立リーグなら最短でのNPB(復帰)もあり得るからね」
オーナーのその一言で光が見えた。一度は完全に断たれたと思ったNPBへの道が開けた。よし! 徳島で頑張って、NPBに返り咲いてやろう! そう強く決意した。
福永投手がここまでプロにこだわるわけは、そのボールにある。阪神を戦力外になったあと、格段に進化したのだ。「おまえなら合うと思うから」と高野圭佑投手に誘われ、11月から広島県内のジムで研鑽(けんさん)を積んできた。
「ウエート、瞬発系やバランス系のトレーニング。やっていることは変わらないけど、意識の持ち方というか、意図を深く汲み込んでやるようになって、すべてが投球につながるようになった」
トレーニングを投球にしっかり反映させられるようになったのだ。また、投球データの解析によって判明したこともあった。
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