【江本孟紀氏Big対談】巨人・原監督、監督生活15年目で「一番燃えている」

直筆の書を手にポーズを取る江本氏(左)と原監督。特別対談で江本氏が心の内に迫った (撮影・矢島康弘)
対談後にポーズをとる江本孟紀氏(左)と巨人・原監督=両国国技館(撮影・矢島康弘)
2015年のオールスター第2戦で藤浪(左)に声をかける原監督。その内心は…
グータッチをする江本氏(左)と原監督 (撮影・矢島康弘)
江本孟紀氏と対談する巨人・原監督=両国国技館(撮影・矢島康弘)

 評論家生活40周年を迎えた本紙専属評論家の江本孟紀氏(73)が各界の大物に迫る豪華対談の第2弾に、巨人・原辰徳監督(62)が登場です。親交の深いエモやんに、監督生活15年目にして「一番燃えている」と胸に秘めた思いを激白。阪神・藤浪晋太郎投手(26)の獲得へ動いていたことなどここだけの話が満載です。(取材構成・伊藤昇、伊吹政高)

 江本氏(以下、江)  「最初の話題はつかみということで。まさか、日本シリーズで2年続けて4戦全敗とは…」

 原監督(以下、原)  「まさか、まさかの…。屈辱的な日本シリーズ。一昨年は許されたけど、昨年も同じ状況になると、一昨年の結果を(話題に)引っ張ってこられる。風当たりというか。だから、やっぱり勝負の世界に戻ってきたなあと思っています」

 江 「その分、期するものもあると思うけど」

 原 「2021年は、燃えています。監督15年目で、一番ですね。19年、20年は何となくぬるま湯につかっていたなと。やっぱり2つの日本シリーズがああいう形になったのは非常に屈辱だし、自分の中で昔のハングリー的な、勝負に対する思いがよみがえってきた。さらに強くしないといけないんだと」

 江 「この前、騎手の福永祐一さんと対談をして『途中で走っているときに鞭を入れるんですか』と尋ねたら、『いや、入れなくても、いい馬はいるんですよ』という話をしていたけど。巨人の場合、ちょっと鞭を入れないといけないんじゃないかな」

 原 「キャンプは2月1日から。昨年までの反省をして、いろんな結論が出てくると思うんですよ。そこでどう対策をするのか。気持ちだけ『こんちくしょう』と言っても、なかなか勝負は勝てない。しっかり、原因を究明したい。ただ、2021年は非常に燃えています」

 江 「今の言葉だけで、もうインタビューとしては十分だね。でも、聞かなきゃいけないのは菅野が抜けたら、その穴をどうするか」

 原 「どういう状況でも、野球は去年のチームを引きずらない。21年は新しいチームで横一線からスタートする。そういう中で彼がいるのか、いないのか…。そろそろ分かると思うんだけれど」

 江 「でも、よく考えたら菅野は一昨年も11勝を挙げたが、腰痛で度重なる離脱があり、いなかったのと同じような…」

 原 「そうです、そうです。わが軍は逆境に強いから。昨年までは、いろんな意味で順風の中で野球をやってきて。今でも、ペナントレースを勝つことは日本シリーズを勝つより、はるかに難しいと思っています。だけど、昨年までのペナントレースは逆風がない中でやれた。そのとき、どういうふうに彼らを動かしたのか。それはやっぱり、反省ですよ」


 江 「新しい巨人をつくる土台はできたイメージはある。だから今年は鞭を入れつつ…」

 原 「3年間退いて、(3度目の監督就任から)1年目、2年目。そしてこの3年目が僕の本当の意味での1年目だと思いますね。スタッフ、選手も含めて、今年がスタートだと思う」

 江 「昨年物足りないと思ったのは選手の成績。主軸なら3割5分くらいを争うとか、本塁打なら40-50本打つとか。ハードルを上げることは必要だと思う」

 原 「(ソフトバンク戦連敗が)8という数字は相当なマイナスですよ。そして、プラスにしていますよ。(岡本)和真にしてもオフになって、非常にハードな練習をしている。上には上がいる、という中で選手はやってくれていると聞いていますので、楽しみですね」

 江 「編成面ではどうか。楽天の石井(GM兼監督)とちょっと電話をして、トレードが決まることもあるの」

 原 「それはあると思います。特に昨年は、現場サイドで必要だというふうに聞くと、僕らは『ああそう、OK!』となる。お互いの合意という意味では、こっちから言うよりあっちから言われた方が出しやすいですね」

 江 「俺の勝手な思いなんだけど、阪神の藤浪がもしトレードで巨人に、となったらどう」

 原 「いや、藤浪は、いつでもいいと思いますよ」

 江 「藤浪は原監督じゃなきゃ使えないと思う。もったいない」

 原 「何年間か、藤浪を出してよ、と阪神には言っているんですよ。俺がちゃんと男にするから、と。去年はコロナに感染し、罪人みたいになってかわいそうだった。選手は球界の宝物です」

 江 「受け皿がしっかりあるということは、阪神に今度言っておこう(笑)」


 江 「選手は監督の意識を感じ取っている。レベルアップしてくれるだろうね」

 原 「勝負というのは終わった後は、あまりグチグチ言えない。ご苦労さんと。ペナントレースの連覇は意義があった、と。しかし1月31日のミーティングでは、これは言うでしょうね。どこからのスタートか分かっているか、と」

 江 「日本シリーズの7試合だけでセが強い、パが強い、というのは本来はおかしい。もう一つ言うなら、ちょっとヨソも弱いなあと」

 原 「そこは僕は言いにくいですけど…。ヤクルトが(オフは補強で)頑張っているじゃないですか。ヤクルトのことをよく知るには、サンスポを読んでおくのが一番いいですからね」

 江 「ハハハ…。いずれにせよ、もう一回日本一を。その先のことをいえば、強い巨人軍にしていくにはスタッフをどうするか。次は阿部2軍監督が下から指導者になってくるのでは」

 原 「そこはとても大事なことだと思います。3回目の監督を受けた時点で、第2の部分ですね。まずは勝つこと。その次に、つなげていくと。私も長嶋さん、藤田さん、王さんからつなげていただいた」

 江 「去年は元木ヘッドコーチの(虫垂炎の)おかげで、阿部2軍監督が代行として上がってきた」

 原 「阿部慎之助というリーダーになるべき人は、僕が思っているよりはるかに積極的でした。僕が『まあまあ』と手綱を締めたくらい。『どうなの?』と聞いて、『私はこう思います』というのが普通のコーチ。でも彼はガーッと意見を言ってきて。印象に残っているのはサンチェスのこと。ちょっと、試合の中ではあってはいけないことがあった=注。『僕はこれを容認できない、しっかりと問題にする』と。戦々恐々の中、本人に伝えた。結果的にサンチェスは認めて『チームに迷惑をかけた、申し訳ない』と謝ったんです。ミーティングで『どうだい、みんな』と言って、よし許そう、となった。それからサンチェスは(成績も)よくなった。慎之助はバイタリティーと熱さがある」


 江 「それにしても、今年のファンの期待はパ・リーグを粉砕し、目が覚めるような試合をしてもらいたい、ということ」

 原 「なんせ、燃えています」

 江 「これはいいね。一番欲しかった言葉なので」

 原 「ご指導、ご鞭撻(べんたつ)を!」

 江 「毎度のことだけど、強くないと叱咤(しった)激励の叱咤もできない。一つよろしく」

 【注】サンチェスは昨季の試合で、捕手が変化球のサインを出したにもかかわらず、直球を投げた場面があった。コミュニケーションのミスが起きたとみられるが、捕手がけがをしかねない危険な投球だった。