【No Ball、No Life】両脇にずらりと並んだ清水イレブンが、拍手で川崎イレブンを迎える。J1清水-川崎(5日、アイスタ)でJリーグ初のガード・オブ・オナーが行われた。
この儀式はイングランド・プレミアリーグなどで早々と優勝が決まった際に、勝者をたたえるために行われてきた。今回は清水の平岡宏章監督と運営サイドの意見が合致して実現した。
その後に行われた試合は、どちらも譲らず2-2の引き分け。終盤まで王者を清水が苦しめ続けるも、土壇場で川崎のDF山根視来が同点ゴールを決め、最後は意地を見せた。
試合前には優勝を成し遂げた相手に最大限の敬意を払った清水イレブン。開始のホイッスルが鳴れば、プライドを持って臆することなく王者に立ち向かった。その態度は相手がいるから試合ができ、高めあえるというスポーツの素晴らしさを体現していた。また、儀式自体がリーグなどの意向ではなく、自主的に行われていたことに、サッカー王国静岡の懐の深さを感じた。
清水が用意した粋な計らいに川崎の選手たちも感謝。この日の先発メンバーで花道を通りピッチに入ったMF田中碧は「素直にうれしかった。試合に入ればライバルですけど、お互いにリスペクトをしているからこそ、できることだと思う」。試合後に日本平スタジアムでの現役最後の試合となるため、清水サポーターの下へあいさつに行った、MF中村憲剛も自身のブログで感謝の言葉をつづった。
試合前の儀式、試合展開、そして、試合後の中村の行動。その全てが田中の言葉を借りれば、「お互いにリスペクトする気持ち」の上に成り立っており、素晴らしい光景だった。(山下幸志朗)
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