そんな思いを胸に、単行本サイズの日記帳を1冊購入。前例のない自粛期間も、練習試合で無安打が続いたときも、毎日欠かさずペンを走らせた。気付けばもう、半分が埋まる。苦しい日々の記憶も全て記し、自らの成長につなげてきた。
6連敗で迎えた22日のヤクルト戦(横浜)前、全体ミーティングで佐野は主将として「こういうときだからこそ、ベイスターズらしく元気よく戦いましょう!」とチームを鼓舞した。その試合では、自ら開幕から28試合目、116打席目で今季初となる本塁打を放った。12球団の4番で最も遅い一発となったが、翌23日の連敗を止めた試合でも本塁打を放ち、この日で3戦連発を果たした。
昨季終了後、新主将には別の選手の名も挙がったが、ラミレス監督は迷いなく佐野を選出。プロ3年間で通算180試合出場、10本塁打とレギュラー経験のなかったブレーク前の選手を抜擢(ばってき)した理由を、代打で見せた「勝負強さ」と明かす。ひと振りで信頼を結果に変えた4番に、指揮官は「こういうことができる選手だと信じて主将に選んだ。やっと佐野のカラーが出せた」と目を細めた。
打率・363、出塁率・434は、ともにリーグ4位。お立ち台では「(期待は)しないでください」と笑いを誘ったが、もう新4番の実力を疑うものはいない。逆襲の夏。佐野が、横浜の夜に心地よい風を吹かせた。(浜浦日向)
この記事をシェアする