2日に行われた西武との練習試合の五回、マウンドに集まった坂本(左から3人目)と大城(右端)。ともに症状はなかったという
ギャラリーページで見る 「何ともないから大丈夫」という自覚は、新型コロナウイルスの前では意味を持たない。巨人は3日、坂本勇人内野手(31)と大城卓三捕手(27)が新型コロナウイルスのPCR検査を受け、陽性判定が出たと発表した。その前日も試合に出ていた2人は、無症状だった。
両選手は球団関係者に対し、「大変驚いている。迷惑をかけてとても残念。早く合流して開幕に備えたい」と話した。2人は東京都内の医療機関に入院し、チームへの合流を目指しているが、すでにPCR検査で陰性と出たことも分かった。早期復帰が見込めそうだ。
球団は5月29-31日に希望者218人に抗体検査を実施。すぐに出るものでは全員陰性判定だった。だが、コロナ医療への協力も兼ねて大学医学部の研究に参加する形で行っており、さらに時間をかけた検査では坂本、大城を含む選手やスタッフ4人に対して感染後に回復を示したことを示すIgH抗体を確認された。
坂本、大城はウイルスの遺伝子量(CT値)が微量で正常値ギリギリの「微陽性」であることに加え、回復を示すIgH抗体を持っていた。そのため専門家からは2人とも感染から回復後かなりの時間がたっていると判断されたが、改めて検査結果が届いた2日の試合後、慎重を期してPCR検査を受診。その結果、本人たちも驚きの「陽性判定」が出たのだ。大げさではなく、今の地球に生きる私たち全員にとって、これはひとごとではない。
2人は3月下旬以降、体調万全で味覚、嗅覚障害などがなかった。56月2日は、約2カ月ぶりの対外試合となった西武との練習試合(東京ドーム)にそろって先発出場し、普段通りのプレーを見せた。検査をしなければ2人の感染は埋もれたままだったかもしれない。
坂本は今年1、2月にインフルエンザB、A型に続けて感染したことで、体調管理にはいっそうの注意を払っていたと聞く。3日の球団発表でも、5月29日に友人と昼食を取った以外、外食も夜の外出も一切なかったという。大城も同28日にチームメートと2時間、夕食を取ったのみ。責められるのものではない。
100%に防ぎようがなく、罹患(りかん)しても気づけない場合がある。なんと厄介なウイルスなのか。「無症状病原体保有者」は日本中にいるはず。それは自分かもしれない。私たちは、それを肝に銘じて行動しなければならない。(谷川直之)
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