外勤記者は新型コロナウイルス蔓延防止のため、会社に近づくことは禁止されている。自宅に軟禁状態。1月下旬以来、出社していないから、もう100日以上出勤していない計算になった。毎日、職場と自宅を往復されている方々には、考えられない、不思議な仕事をしている。
大阪・難波のサンケイスポーツ編集局内の様子は、社内のデスクに聞くしか手段はない。電話に出たのは当番デスクの白石大地。
「きょうは関西の3府県も緊急事態が解除されたので、『緊急事態の虎』連載も最終回です。でも万が一、再び緊急事態が発令されたら、どうするんでしょうかね」
その時は新連載「再試合の虎」? まさか。
度重なる自粛に府民の怒りも爆発しそうだから「乱闘の虎」?
やめよう。そんな不吉な話は。メデタイ日なのだから。
「藤川球児が高校球児にメッセージを送ってくれたので、それで1面ができたらと考えています」
どうやら現場のトラ番との打ち合わせも順調のようだ。白石の声も落ち着いていた。
ふと、イジワルの虫が頭の中で動き出した。整理部の責任者であり、この日の紙面総括の局次長・生頼秀基にチクリと尋ねた。「見出し、どうするんや?」と。
「そうなんですよ。これ、意外に難しいですよね。(整理部の)1面デスク・竹中(高大)の腕の見せ所ですわ」
読者の皆様、前日21日付の1面のメイン見出し、覚えてますか?
「球児の夏、残った」
夏の甲子園は中止になったが、各都道府県が自主開催するので、最低限の戦いの場だけは維持される可能性があることを報じた。「球児」は高校球児のこと。
で、本日。主語はまたしても「球児」。これは藤川球児のこと。
内輪の話ですが、見出しを決める整理部は、同じ言葉が続くことを極力避けようとする。たとえば、阪神が2日連続で猛打爆発で勝ったとして、最初の日が「阪神」なら、翌日は「猛虎」という具合に。
かくして、できあがった1面、ご堪能いただけましたでしょうか。
「緊急事態宣言の解除で、スポーツ界にも動きが出てきてほしいですよね。『大阪モデル』をクリアした日のような、ああいうスポーツ新聞らしい、明るい紙面が作れれば…」
生頼がピックアップしたのは15日付。異彩を放った見出しだった。
「吉村知事7連勝や 大阪やったで、休業要請解除」
あちこちで話題になったあの紙面だ。
さて、本日は、ある名言が生まれた日。45年前の5月22日、東京・後楽園球場での日本ハム-南海でのこと。主役は、逆転3ランが通算600号本塁打となった野村克也だった。まだ39歳の兼任監督。
「長嶋、王はヒマワリ。俺は日本海の夜の浜辺に咲く月見草」
準備していたこのフレーズを口にした。注目され続けるONと、パ・リーグでひっそりとプレーする自身を比較、見事にまでに言い表した、球史に残る名言ではある。
でも、月見草って実はメチャクチャ生命力がある。厳しい環境に負けない。しぶとい。そういう意味でもノムさんにピッタリだった。
生きていたら、今回のコロナ騒動、どうボヤいていたんだろう。