新型コロナウイルスの感染拡大の影響で全国の大規模イベントが中止や延期になる中、埼玉県と国が開催自粛を求めていた大規模格闘技イベント「K-1 WORLD GP」が22日、さいたま市中央区の「さいたまスーパーアリーナ」で予定通り行われた。主催者側の感染防止策を確認するため、会場を訪れた大野元裕知事(56)は遺憾の意を示した。
濃厚接触、集団感染の危険をはらみつつ、格闘技イベント「K-1」は予定通り開催された。試合が始まる1時間前の正午過ぎ、埼玉県の大野知事が会場の「さいたまスーパーアリーナ」を視察に訪れた。
「自粛要請に強制力はなく、あくまでお願いだったが、聞き入れていただけなかったのは残念」
会場を保有する県は複数回にわたって主催者側に自粛を求め、21日には西村康稔経済再生担当相が知事に対し、改めて自粛を促すよう要請。しかし、主催者側は「来場者へのマスク配布など万全の対策を取る」として応じなかった。
入場者の体温を検知できる赤外線サーモグラフィーを設置。会場の扉を開けて換気に努め、グッズは屋外で販売した。感染者が出た場合は追跡調査を行えるよう、県の依頼で入場者はチケットの半券に住所、氏名、電話番号を記入した。
午後1時から約8時間にわたって20試合が行われ、約6500人が来場した。埼玉・川越市から観戦に訪れた30代の男性会社員は「払い戻しができないと聞いて来場した。試合は楽しみだが、多くのイベントが中止になる中、特別扱いのようにも感じる」と複雑な表情を見せた。
アリーナでは今年2月以降、コンサートなど多くのイベントが中止や延期になった。20日には安倍首相が引き続き大規模イベントの自粛を要請している。一方、スポーツ興行の運営、飲食業の経営は厳しさを増すばかり。「K-1」の決行には賛否両論ある。