タイで日本男子初の王座奪取を逃した田中(右)。屋外に設置されたリングで完敗だった (共同) プロボクシング・WBA世界ミニマム級タイトルマッチ(3日、タイ・ナコンサワン)野外特設リングで行われ、同級10位の田中教仁(35)=三迫=はスーパー王者のノックアウト・CPフレッシュマート(29)=タイ=に0-3の判定負け。世界初挑戦での王座奪取に失敗した。ノックアウトは12度目の防衛。日本男子選手のタイでの日本ボクシングコミッション(JBC)公認世界戦は25敗1分けとなった。
外の気温は約35度。巨大なテントのような建物の中に設置されたリングの上で、田中は歴史的勝利をつかむことはできなかった。
「(王者は)強かった。さすがだった。日本の皆さんには申し訳ないの一言です」
1回はジャブを突いて上々の立ち上がりをみせたが、圧力を強めてきたノックアウトに、3回に左フックでダウンを奪われた。カウンターの右を狙ったが有効打を当てることはできず、ジャッジ2人がフルマークの完敗だった。
6歳と3歳の娘を持つ田中は、2011年11月の試合を最後に1度現役を引退。祖父の焼き鳥店を手伝っていたが、「未練があった」と17年2月に現役復帰した。35歳でたどり着いた世界初挑戦だったが、気持ちが空転した。
新型コロナウイルスの感染拡大もあり、家族や応援団の現地入りは断った。「日本がこんな時に、送り出してくれたみんなの思いがある。素直にごめんなさいという感じ」。完全アウェーの鬼門を突破できなかった。