プロボクシングの世界戦(31日、東京・大田区総合体育館)の前日計量が30日、東京都内のホテルで行われ、WBO世界フライ級王者の田中恒成(24)=畑中=はリミットちょうどの50・8キロでパスした。完璧調整の一発クリア。V3を目指す王者は体重計の前では白いビキニ姿のラウンドガールに話しかけるなど余裕たっぷりだった。
「ずっと立ちっぱなしで疲れませんか? 大変ですね、お疲れさまですと言っただけです。変なところだけよく見ていますね」
まさかのナンパ…ではなく、立ち仕事の美女を思いやった心配り。さらに、ご機嫌の王者はサプライズも用意していた。計量後の取材では「中国語で言っていいですか?」と挑戦者の母国語で挨拶。「私は田中恒成です。大学で中国語の勉強をしました。明日は全力を尽くします」。直前に思いついたというパフォーマンスを披露した。
今年3月に卒業した中京大では第2外国語で中国語を選択した。「(単位を)落としまくって3年もやってきた。ようやく力を出すときがきた」。カンペなしで操った流ちょうな中国語。さらに「自分で訳しますね」と笑顔で話すなどサービス精神は旺盛で、ゴング前日の緊張感はまったくなかった。
プロ4戦目で東洋太平洋ミニマム級の王座を獲得した2014年10月以来、東京のリングは5年ぶりとなる。「いつもと同じ。何も変わらない」と自然体で臨む大みそかのV3戦。「いい仕上がりになった。自信を持って明日はリングに上がる。気持ちよく締めますよ」。世界最速タイで3階級制覇を達成した王者は最後まで自信に満ちあふれていた。