福岡(中央)は後半早々にトライを決める。ダブルフェラーリが躍動した(撮影・蔵賢斗) ラグビー・ワールドカップ日本大会1次リーグA組(13日、日本28-21スコットランド、日産ス)日本が誇るダブルフェラーリが初の8強入りに貢献した。WTB松島幸太朗(26)=サントリー=が大会5トライ目で勢いをつけ、WTB福岡堅樹(27)=パナソニック=が魂の2トライで因縁のスコットランドを突き放した。2016年9月に就任したジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、49)の下、「ワンチーム(一つのチーム)」がまとまった。20日の準々決勝で南アフリカも撃破する。
勝利への道を切り開いたのは、やはりこの2人だった。スコットランドに先制トライを許してから11分後の前半17分、WTB松島が反撃ののろしを上げるトライ。おぜん立てしたのはWTB福岡だ。勝利の立役者は、興奮気味にまくし立てた。
「このときのために、全ての時間をささげてきた。最高の瞬間です」
1次リーグ4試合目で初先発すると、左サイドを切り裂いた。相手のタックルをかわし、倒れ込みながら松島に執念のパス。スコットランドは今大会2試合連続で完封勝利を挙げていた堅守のチーム。過去1勝10敗の難敵の防壁を打ち破った。
松島はハットトリックを達成したロシア戦、サモア戦に続く5トライ目。ウェールズのWTBアダムズに並び、トライランキングでトップに立った。福岡も前半終了間際と後半開始早々に連続トライで今大会4トライ目。ダブルフェラーリが日本を8強に導いた。
福岡は幼少期にピアノ、スイミング、習字も習った。ピアノは3歳から始め、小4のときに山口・九州の大会で最優秀賞に輝いた。福岡・古賀市の自宅に戻ると、ピアノを弾くのがリラックス法のひとつ。好きなベートーベンの「悲愴」が試合中でも頭の中を流れているといい「ステップなどのリズム感はピアノのおかげ」。2015年の前回大会は唯一黒星を喫したスコットランド戦だけ出場。苦汁をなめさせられた相手に50メートル5秒8のスピードを発揮して、見事リベンジした。
準々決勝の相手は南アフリカ。松島が「気持ちを向けていかないと」と表情を引き締めれば「日本のラグビーの新しい歴史を塗り替えたい」と福岡。日本が誇る二枚看板が、再びそのスピードで世界を驚かせる。(田中浩)
この記事をシェアする