■8月31日 釧路市民球場で28日に開催されたプロ野球、日本ハム-西武は、午後6時5分の日没まで100分あまりを残して試合終了。20年ぶりとなる日没コールドとなった。
シーソーゲームを8-10で落とした日本ハムは気の毒だった。西川は陰った白球を本塁打にして「真っ黒なボールを打ちました」と話したが、守りでは西武・森の本塁打の打球が「見えなかった」という。「雨まじりの曇天で、映像や写真で見る以上の暗さでした」と球場を管理する釧路市スポーツ振興財団の関係者は残念がった。
夏の釧路は、月の半分ほどが霧に包まれる。2007年7月に日本ハム-ロッテを取材した。試合前夜、霧の街は20度を下回る肌寒さで、おでんに熱燗で過ごした。街灯に浮かんだ釧路川の幣舞橋(ぬさまいばし)が幻想的だった。
プロの公式戦が開催される道内の屋外球場で、ナイター照明があるのは旭川だけ。現在も道産子球児の聖地である札幌円山球場にもナイター設備はない。「隣接する円山動物園の動物と生態系に配慮したからだ」と地元出身の記者に教わった。さすが北海道、と納得したものだ。
釧路も年に数試合の開催では、照明がないのは採算上やむをえまい。何より広大な釧路湿原の入り口にある。それこそ豊かな生態系に影響を与えそうだ。ならば「日没で試合を終えるのも、湿原で暮らすタンチョウやキタキツネを守るため」と夢想するのもいい。
23年、北広島市に完成する日本ハムの新本拠地は、全面天然芝に開閉式屋根を備える。最新鋭のボールパークも楽しみだが、旭川のスタルヒン像、帯広の雄大な森、釧路…と、趣に満ちた屋外球場でのドラマも、ずっと見ていたい。 (加藤俊一郎)
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