本仮屋(後列中央)は父親役の緒形(同左)や母親役の酒井(同右)、弟役の田中冴樹ら“家族”に支えられ、ヒロインとして輝いた=2005年撮影 ヒロインの優は町工場を営む一家の長女です。両親を演じてくださったのは緒形直人さんと酒井法子さんでした。
優の父は「木戸バネ製作所」の2代目社長で、根っからの職人。取引先の不正を見逃せなかったことで取引を失い、工場が閉鎖してしまいます。
劇中では、それが原因で不登校になった優が父親と何度も衝突します。緒形さんは役柄と同じく、いつも対等に接してくださいました。
当時は生意気にも、それが当たり前のことだと受け取ってしまっていて…。今振り返ると、17歳の私に対して同じ演者として常に目線を合わせて演技をしてくださり、感謝の思いでいっぱいです。父親のような緒形さんの懐の深さに、甘えさせていただきました。
母親役の酒井さんからは「普段もお母さんって呼んでいいよ」と言われていたので、本当の家族のようでした。
底抜けに明るい方で、せりふでは「バネ工場」をよく「ネジ工場」と言い間違えて「またやっちゃった」って。かわいらしい感じに撮影現場が盛り上がっていました。
ベテランの方々との共演も思い出深いです。
由紀さおりさんは、優が仲居として働いた温泉旅館の女将(おかみ)役。歌う女将として「川の流れのように」や「涙そうそう」などの名曲を歌う場面はドラマの大きな見どころでした。
朝ドラで共演したご縁で、由紀さんのコンサートに出演させていただいたことも。その後、私は大学の演劇学科を受験したのですが、歌のテストがあることを忘れていて…。とっさに由紀さんのコンサートで歌った「牧場の朝」を歌い、合格しました(笑)。
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