受賞を喜ぶ山田あかねプロデューサーと撮影を担当した谷茂岡稔さん(C)フジテレビ フジテレビの「ザ・ノンフィクション 犬と猫の向こう側」前・後編(6月放送)が、第45回「放送文化基金賞」番組部門・テレビドキュメンタリー番組の優秀賞を受賞。このほど都内で贈呈式が行われた。
同賞は、視聴者に感銘を与え放送文化の発展と向上に寄与した優れた放送番組や、放送文化・技術の分野での顕著な業績を残した個人・グループに贈られる賞。今回は全部で279件の応募、推薦があった。
受賞作品は、広島に本部を置く動物保護団体「犬猫みなしご救援隊」代表・中谷百里さんの活動を追っている。中谷さんは各地で起こっている「多頭飼育崩壊」問題に取り組んでいる。空前のペットブームの陰で、年間6万匹以上の犬猫が殺処分されているなか、同団体の活動は犬猫を救うだけではなく、崩壊問題のすさまじい現場にまで踏み込んだ。思わず目を背けるような映像を隠さず見せることによって、現代の貧困と孤立を余すことなく伝えたことが評価された。
演出・構成も担当した山田あかねプロデューサーは、人間にとって一番身近な犬と猫には、人の抱える問題がダイレクトに反映されているという。
「2011年の東日本大震災以降、犬と猫の命をテーマにドキュメンタリーを撮ってきた。犬猫モノに対してはどこか軽く見られていると思う。でも、実は犬と猫を撮ることは、人を撮ることと同じ。今回取材したのは、1人で100匹もの犬や猫を飼ってどうしようもなくなった人たち。なぜそんなことになるかといえば、頼れる人がなく、最後の支えとして犬や猫を飼うから。犬や猫は人を差別せず、裏切らない。そんな現場で感じたのは、飼い主の圧倒的な社会からの孤立でした。犬猫モノに賞をくださってありがとうございました」とコメントを寄せた。
(産経デジタル)