今春の高校野球選抜大会での一連の「サイン盗み疑惑騒動」で学校側から懲戒処分を受け、4月中旬から指導禁止となっていた星稜高・林和成監督(43)が5日、監督業務に復帰したことを受けて同校グラウンドで取材に応じた。
学校側はこの日、日本高野連、石川県高野連、習志野高、野球部保護者会などへ謝罪、ならびに林監督の復帰を報告し、部員たちへも昼ごろに説明が行われた。林監督は報道陣の前で「このたびは私の取った選抜大会での行動や言動に対して全国の多くの方にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます」と謝罪した。
指導が禁止されていた2カ月間は学校を通じて届いた、学外で職業体験を受けたほか、叱咤激励が込められた手紙を読んだり、野球関係者をはじめとする周囲の方からの電話に耳を傾けるなどしていたという。
また、テレビでは4月24日に亡くなったマラソンの指導者、小出義雄さん(享年80)のニュースを目にし、その中で教え子でもある1992年バルセロナ、96年アトランタ両五輪マラソン2大会連続メダルの有森裕子さん(52)が小出氏の印象の残っている言葉として明かした「物事に意味のないものはない。どんなことが起きても『せっかく』と思う」というフレーズが胸に突き刺さったという。
「この2カ月間、こういう処分をいただいて、何か意味のあるものかどうか。それをしっかりと見つめていきたい」
星稜のユニホームを着て指導できること、練習をできることがいかに幸せなことであるかを再確認する期間にもなった。
約20年前のコーチ初日を思い出しながら、約2カ月ぶりとなるグラウンドには白のユニホーム姿で登場。40日後に迫る3年生にとって最後となる夏に向けて、「非常に期待の大きいチームですので私自身も非常にプレッシャーに感じている。そういうものしっかりと楽しんで、選手たちと夏の県大会を勝ち上がれるチームを作っていきたい」と意気込んでいた。
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