新時代「令和」に向けた紙幣の全面刷新が9日、財務省から発表された。新紙幣の1万円札には日本の資本主義の父で実業家の渋沢栄一、5000円札には津田塾大の創始者で女性教育の先駆けとなった津田梅子、1000円札には近代医学の基礎を築いた北里柴三郎を肖像画に採用。3人にゆかりのある地域の人々からは「うれしい」「楽しみ」と喜びの声が次々と上がった。
1万円札に採用された渋沢栄一の生涯や業績を紹介している渋沢史料館(東京都北区)の井上潤館長(59)は、数日前に財務省の職員らが訪れ、新紙幣への起用を告げられたと明かした。
国立印刷局には以前から、渋沢の古希を祝った肖像写真を貸していた。「肖像画の練習のため」という理由だったが、井上氏は、この写真が新紙幣のデザインのもとになると予想していた。
渋沢については「日本の近代化を推進したリーダーだ。産業振興だけでなく、福利や医療、教育など多くのことに光を当てた功績者だ」と称賛。また「名前だけは聞いたことがある人は多いかもしれない。これをきっかけに一層理解を深めてほしい」と期待を込めた。
渋沢栄一の子孫で、関連の著書もある渋沢健氏(58)は、独立系の投資信託会社「コモンズ投信」の会長を務める。報道を受けて友人や知人から大量の祝福メッセージが届いた。「うれしいというより、今は戸惑っている感じだ」と笑顔で話した。
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