復活の鍵は暗示-。ヤクルト、西武を日本一に導いた名将で阪神の臨時コーチなども務めた広岡達朗氏(87)が15日、2軍再調整となった阪神・藤浪晋太郎投手(24)について「よくなっている」と分析。自信をつけさせることが大事だと提言した。本来は1軍で指導し続けるべきとも話すと、オープン戦で調子が出始めた阪神がシーズンで14年ぶりの優勝をつかむには、藤浪の復活が不可欠だと力説した。
藤浪が2軍と聞いて、驚きました。本人が志願したようですが、わたしは1軍で指導してきた担当コーチが「最後まで俺に任せろ」という気持ちでやって欲しかった。1軍で教え切ることができないのなら、担当コーチはクビという覚悟で、教えて欲しいのです。
なぜ、いま2軍なのか-。藤浪は以前よりも数段、よくなっています。投げ方がよくなった。大事なのは「重心はどこにあるのか」です。以前、藤浪に「外野のバックホームの練習をしろ」と書きましたが、当時は投げる「順序」がバラバラでした。しかしいまは、打者の方にしっかり体重移動をしてから、腕が出ていっている。正しい順序になってきています。
正しい順序ができていれば上から投げようが、横から投げようが関係ありません。それにオーバースローを意識して腕が伸びきってしまうと力が伝わり切らないので、腕には少し余裕がある方がいい。スリークオーター気味で本人が一番、力を出せるのなら、まったく問題はありません。
では、正しい方向に進んでいるのに、なぜ結果が出ないのか。自信がないからです。自信がつけば、堂々といけます。自信がないのは、うまくいかない期間が長かったからです。3年間も悩んで、試行錯誤して、うまくいかなかった。だから自信がもてない。自分のやっていることに確信がもてず、不安な気持ちで投げていては、いい結果など出ませんよ。
いま、彼に必要なのは自信です。もし「結果が悪い=投げ方が悪い」などと考えてしまったら、えらいことになりますよ。藤浪の素材は間違いなくいい。わたしは彼の性格は知りませんが、おそらく正直なのだと思います。本当に自信をもっていいのか、わからない。以前にマウンドでやっていた弓を引くポーズもそうですし、今回自ら2軍にいったのなら、なおさら弱気になっている証拠です。コーチは何をしているのか。わたしが阪神の関係者だったら、本人を呼んで言いますよ。「それでいい。大丈夫だ! よくなった。これからもっと、よくなるぞ!」と。
選手が苦しんでいるときこそ、指導者にとって教えるチャンスです。藤浪に「俺の言う通りに直せ。20勝できるぞ!」と言えるコーチは、阪神にいるのでしょうか。いい暗示をかけなければいけません。長く、悪かったことを引きずっている藤浪を呪縛から解き放たなければいけないのです。
ようやくいい投げ方になってきたのだから、コーチが「全然悪くない。自信を持て!」と言ってやればいい。能力のない子ではないですから。せっかくいい方向になっているのに、ここでまた違うコーチが教えたら、ガタガタになる可能性だってありますよ。
藤浪は阪神のエースにならないといけません。いまのセ・リーグはどんぐりの背比べ。広島にもたくさん隙がある。阪神には十分、チャンスがありますよ。ただ優勝するためには、エースとなるべき人間がいつまでもくすぶっていては、ダメです。藤浪を必ず復活させなければいけません。
★「クリーンアップ固定」Vへの鍵
広岡氏が、藤浪の復活とともに優勝への鍵に挙げたのが「クリーンアップの固定」だ。
「大山を4番にするなら、しっかり自覚させることです。『おまえは4番だ。どんなことがあっても下には置かないぞ』と。調子が悪いから6、7番くらいで、などしていては育ちません」
米大リーグで注目される2番最強説についても「相手投手にプレッシャーをかけることをまず考えるべき。いい打者でも打って3割、7割が凡退。打つことを前提に打順、策を立てるのはムシが良すぎます。打て、打てでは点は入らない」。また阪神のポジション争いについては「(どちらを使うか)迷ったら守備ですよ。守備がいい方を使う」と断言した。