辞任会見を終えた金本監督。球団側の意をくんでの決断だった(撮影・宮沢宗士郎) 電撃辞任劇! 阪神・金本知憲監督(50)が11日、今季限りでの辞任を表明した。前日10日のDeNA戦(甲子園)の後に揚塩健治球団社長(57)と会談し、辞任勧告に近い形で身を退くことを決断した。次期監督は来季ヘッド格就任が内定していた矢野燿大2軍監督(49)が最有力。坂井信也オーナー(70)=電鉄相談役=は辞任した。
17年ぶりの最下位となった阪神を大激震が襲った。金本監督、電撃辞任-。午後1時、西宮市内の球団事務所で会見を開いた金本監督は苦悩の3年間を振り返り、自ら身を引くに至った経緯を説明。どこか吹っ切れたような表情だった。
「やり残したというのは多々ありますけど、結果の世界ですから。成績不振です。何より最下位というね。(揚塩球団社長から)『もう少し、頑張ってみてよ』ということは言われましたけど、僕の意思も固かった」
解任の側面が色濃い退陣劇だった。複数の関係者の話を総合すると、前日10日には谷本球団副社長兼本部長らがフェニックス・リーグが行われている宮崎に飛び、金本続投を大前提に来季組閣に着手。その一方で揚塩社長は電鉄本社に呼ばれ、今後の監督人事について意見交換を重ねていた。甲子園でのDeNA戦後、揚塩社長はクラブハウス内で金本監督を呼び出した。
最下位まで落ち、本拠地での観客動員数が昨年より約13万5000人減。ファン離れは顕著で来季に向けての期待感を醸成しにくい現状を踏まえた上での会談だった。今季から新たに3年契約を結んでいた金本監督は、試合前の辞任の意向については「なかったです」と否定。関係者によると、試合後の面談は事実上の辞任勧告ともとれる状況で、無言の外圧を感じて自ら終止符を打つことを決断したというのが真相だ。
「しんどかったというのが一番ですね。でも若い選手がいい成績を残してくれたときとかは本当にうれしかったし、逆に僕の方がワクワクしてね。『このままよくなってくれよ』とか。そういう楽しい思いもあった」
「超変革」から始まった金本阪神。今季は「これまでのチームでは一番強い」と期待しながら、目指す「積極的な攻撃」は最後までできなかった。若手が伸び悩み、打線も下降の一途。甲子園では借金18の屈辱。「俺の人生で一番ぐらいにきついわ…。ちょっとこの経験はない」とも漏らしていた。
一つの転機は8日のヤクルト戦(神宮)で敗れ、最下位が確定したとき。巨人・高橋監督が3年連続でV逸し、辞任したことも「結果を問われるのが巨人と阪神。そこは一緒」とだぶらせた。本拠地最終戦だった10日のDeNA後には「私の力足らず」とファンに謝罪。自らの進退については触れていなかった。
次期監督には電鉄本社と球団の総意で、来季ヘッド格就任が内定していた矢野2軍監督の内部昇格が最有力。今後、正式に就任要請を行う見通しだが、盟友の辞任はあまりに衝撃的。あまりの急展開に受諾までスムーズに進むか、楽観視はできない。
「超変革」「挑む」「執念」の3年間が水の泡と消えた。坂井オーナーも辞任。ゼロから作り直し。世紀の解任劇から、光を灯せるのか。 (阿部祐亮)
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