異例の決断が、背景にあった。本来ならこの日から広島との3連戦(マツダ)のはずだったが…。連日の西日本豪雨で広島に多大な被害が出ていることを考慮し、このカードが中止に。2軍戦への調整出場の中、N砲は神妙な面持ちをした。
「被害者や避難されている方もいる。亡くなった方々に哀悼の意を示したいし、今大変な思いをされている方にも、自分が力になれたら」
米国時代、いつも柔和な表情を浮かべ、トラブルが起きても、常に相手の気持ちに寄り添ってきた。審判と喧嘩することもない。むしろ、なだめる方ばかり。あるとき、同僚に元気がないとみるや、「きょうは俺が料理を振る舞うぜ」と奮起。肉を大量に焼いたものの、これがかなりの不評だったが、「肉を焼くより、一塁の守備の方がうまい」と、アメリカンジョークで笑わせた。
とにかく、他人の力になりたい思いが強い。だからチームのために、ライバルのロサリオとも日本の配球面など情報を交換する。R砲も「2人でいい形で臨めている」と相乗効果を強調。ベンチで見守る矢野2軍監督も「お互い、気持ちの面で楽になる部分があるのかも」と感謝しきりだ。
「自分でも期待している。1軍でどれだけ打てるかわからないけれど、コンタクトできたときにしっかりできるだけ遠くに飛ばせるようにとは、いつも思っている」
前半戦を借金3でターン。DeNA、巨人が勝利したため、チームは2位から4位に転落した。16日の巨人戦(甲子園)から始まる後半戦。新助っ人が虎を強くすることで、被災地も元気づける。 (竹村岳)
この記事をシェアする