最高気温33度。雨雲が過ぎ去った猛暑の鳴尾浜で、待望のアーチを架けた。シュアな打撃だけじゃない。一発もある。被災地にも届きそうな弾道だった。2軍戦でナバーロが来日初本塁打。誰もが待っていた瞬間に、純粋な笑みがこぼれた。
「ちょっと間隔が空いたので、打席の中でボールへの感覚を確かめようと思っていた。粘った後だったけど、最終的にホームランを打ててよかったよ」
見せ場はいきなり訪れた。「3番・左翼」で先発し、一回一死二塁だ。対峙するのは1軍では未勝利ながら、昨季ウエスタンで最優秀防御率(2・10)、最高勝率(・750)の2冠右腕、阿知羅(あちら)だ。フルカウントからの6球目。外角変化球に踏み込み、豪快に振り抜いた。打球は風にも乗り、左翼防球ネットへと着弾。ダイヤモンドを一周すると、ベンチでハイタッチの嵐が待っていた。
三回無死でも中前へ、マルチ安打を記録。その後も2四球を選び、計4出塁だ。視察した金本監督も「変化球もよく見逃せていたし、もう少し体のキレとかスイングのキレとかが出てくれば、おもしろい」とニヤリだ。
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