(セ・リーグ、DeNA2-3阪神、10回戦、阪神8勝2敗、28日、横浜)もってる! ついてる! 3安打のラッキーボーイ出現で3連勝、3位浮上だ!! 阪神は九回、北條史也内野手(23)の幸運な二塁打をキッカケに敵失で勝ち越し。DeNAに3-2で今季2度目の同一カード3連勝を決めた。一回の失策を取り返す、気迫の今季初打点&2度目の猛打賞。勢いをつけて、29日、2位ヤクルトを神宮で叩く!!
左翼から右翼へ吹く、いたずらな横浜の風を味方につけた。運も実力のうち…じゃない! 北條の気迫が運を強奪した。今季2度目の3安打で、チームを同一カード3連勝に導いた若虎は、ただただ必死だった。
「(球の)見極めはできていました、追い込まれてからも。あの場面は何が何でも(出塁する)という気持ちでした」
2-2の九回先頭。マウンドにはハマの守護神・山崎だ。フルカウントから8球目、内角シュートに詰まったが、思い切り振り切った。ファウルになりそうな飛球は風に戻されながら、左翼線へポトリ-。一気に二塁へ進むと、代走・熊谷。続く山崎の投前犠打が一塁悪送球を呼び、勝ち越し点が刻まれると、ベンチでガッツポーズだ。
四回にも神風を吹かせた。1-1と追いつき、なお二死一塁。二塁後方へ打ち上げた打球が伸びて、二塁手と右翼手がお見合い。ボールが転々とする間に一走・俊介がホームイン。これが今季初打点だった。しかし本人に笑顔はない。
「守備で迷惑をかけてしまったので、取り返したい気持ちで必死でした」
今季で初めて三塁でスタメン出場し、痛恨の失策を犯していた。一回一死二塁。ソトの詰まったハーフライナーに前か、後ろか、一瞬迷った。ボールはグラブをすり抜け、左翼へ。一、三塁とピンチを広げ、筒香の併殺崩れの間に先制点。今季初先発の先輩・岩田の足を引っ張ってしまった。
「ラッキーだったわな。ミスを取り返した? 取り返したって言うんかな!? ハッハッハ! そういうことにしておきましょう」と金本監督。内容はともかく、ミスをバットで取り返した気持ちが、うれしかった。
5月31日に昇格し、6月12日に抹消。そして22日の広島戦から再合流。試合はナイターだったが午前中、甲子園に行く前に、まずは鳴尾浜に足を運んだ。グラウンドにいた2軍のコーチ陣や裏方さんに、挨拶回り。
「頑張ってきます!」「やってきたことを信じて、頑張れよ!」
もう、ここには帰ってこない-。かけてくれる言葉をひとつひとつ、胸に刻んだ。本人は「それは(挨拶に)行くでしょ」と恥ずかしそうに話したが、強い決意を、結果として示した。
「岩田さんに申し訳なかった。(四回の適時打で)取り返したという感じはしない。とにかく集中を切らさないように」
最後まで、その表情が緩むことはなかったが、そのバットがチームにさらに勢いをつけたのは確かだ。3連勝で、リーグ戦再開後、チームは3勝3敗に。借金3で、3位に浮上。自主トレをともにする燕のトリプルスリー男・山田哲も驚く!? 「3」尽くしの一日をきっかけに、虎が、北條が加速していく。 (竹村岳)
「俺は何もしてないよ」
「前回(5月1日)、食らったのも(体の)上だったから。投げミスだとは思うけれど」
◎…阪神は今季2度目の同一カード3連勝。5月25-27日の巨人戦(甲子園)以来
◎…DeNAに同一カード3連勝は昨年9月8-10日の甲子園以来。横浜では2016年8月23-25日以来
◎…横浜ではこれで今季5戦5勝。昨年、一昨年も8勝3敗1分けと金本阪神では好相性
◎…北條のスタメンは今季5度目で、三塁では初。猛打賞は6月23日の広島戦(甲子園)以来、今季2度目
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