三回、大山が菅野から右翼席に運ぶ1号2ラン(撮影・矢島康弘) (セ・リーグ、巨人1-5阪神、1回戦、阪神1勝、30日、東京D)思わずこぶしを突き上げた。オレンジ色の中に白球が消えるのを見届けて、大山はニコッと笑った。レギュラーを託した金本監督も破顔一笑。試合を決定づける、右越え2ランだ。初の開幕スタメンで、難敵を沈める大仕事をやってのけた。
「強引にならずしっかりコンパクトに、という意識でした。失投が少ない投手なので、1球で仕留めるということを意識していました」
2-0の三回。立ち直ろうとしていた菅野に、二死から福留が中前打。ここで大山がすべてを決めた。1ボールからの高め149キロに、素直にバットを出す。スルスルッと逆方向へ伸びた打球が、そのままフェンスを越えた。一塁を回ったところで、珍しくガッツポーズを作った。
2年目で初の開幕スタメンとはいえ、大山はいつも通りにゲームを迎えた。東京ドームのナイターでは恒例の、午前中の打撃練習にも参加。ベンチ裏で黙々とティー打撃を行った。一回を8球で片付けた菅野を見て、金本監督は「相変わらず調子いいな、と。150キロを連発していたので、しんどいかな、というのは正直思っていました」と正直に振り返った。シーズンオフもウエートを命じ、キャンプ中から手塩にかけて育ててきた大山がやってくれた。「右方向にね。素晴らしいバッティングを。完璧でしたね。あれで『きょういけるんじゃないか』という気になりました」。厳しく鍛えてきた若虎が難敵菅野を沈め、将は溜飲を下げた。
背番号3は今季初打席での痛烈な左前打から、鮮烈にマルチ安打発進だ。「やっぱり緊張しました。いつもと違う感じはしました。1打席目のヒットがやっぱり大きかったと思います」と、試合後も少しだけ笑顔を見せた。三塁守備でも何度も軽快なフィールディングを見せ、攻守でスキなし。ホットコーナーで、飛躍のシーズンをアツく駆け抜ける。(長友孝輔)
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