九回、左腕のモイネロから左前へ巧打した高山。“らしさ”が戻ってきた(撮影・門井聡) (オープン戦、ソフトバンク6-4阪神、4日、ヤフオクD)春の玄界灘に訪れるマダイのように、高山がピチピチと勢いを取り戻してきた。毎年のように鷹投にキリキリ舞いさせられる博多で中堅争いが激化。2016年新人王を忘れてもらっては困る!
「頑張ります。(手応えは)まだまだです」
スーツ姿に着替えると短い言葉に力を込めた。
虎の意地をみせた九回の3得点。一死から風穴をあけたのは2試合連続で「9番」に入った高山だった。昨季34試合に登板したキューバ出身左腕・モイネロの140キロ直球を逆らわず、鋭く左前へ運ぶ。二進後、糸原の右翼線二塁打で2点目のホームを踏んだ。
五回一死一塁でも田中から中前にはじき返し、オープン戦自身初のマルチ安打。金本監督は「きょうは高山が一番よかったな」と目を細め、復調の背景に、ある命令をしたことを明かした。
「きょうから、長打狙い禁止令を出した。結果的に長打になるのはいいけど、力みが激しかったからね。力みからくるバランスの乱れというのがあったから。練習はしっかり振らないとあかんけど、試合では7割ぐらいの感じで」
タイミングがどうしても遅れてしまう。右肩の開きが早すぎて、変化球にも泳いでしまう。これらの悪癖を指揮官と片岡ヘッド兼打撃コーチで分析し、原因が力みとあぶり出したという。
中堅のレギュラーを争う上で、相手は中谷や俊介だけではない。ドラフト4位・島田海吏外野手(上武大)のアピール。前日3日には昇格したばかりの緒方がサファテからソロ…。次々とライバルが現れている。
「島田がアレ(活躍)する、緒方はアレする、で。多分その危機感が余計な力みになっていたところがあったからね。振る力もついてきているから。勝手に(バットが)出るから。ハナから狙うから、おかしくなる」と金本監督。だからこそ、長打禁止令だった。
福留、糸井と同じ左打者がゆえ不利な部分はあるが、3月30日の開幕巨人戦(東京ドーム)の相手先発は右腕の菅野が濃厚。高山のスタメンの余地は十分ある。長打を捨てることを許された若きヒットマンが、虎視眈々と狙っている。 (阿部祐亮)
★前日3日の金本監督発言VTR
ソフトバンク戦の九回に、代打・緒方が球界を代表する絶対的守護神サファテからバックスクリーンに本塁打。2軍キャンプで実戦6試合、打率・632(19打数12安打)&5盗塁と結果を出し、2日に昇格したばかりの男の一打に、金本監督は「今の外野手で開幕(相手の)菅野を打てそうなヤツ…緒方ちゃうか? いや、冗談抜きで。あるよ。ないことないよ」と開幕スタメンの候補に入れた。
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