巨人春季キャンプ(16日、沖縄・那覇)打撃ケージの後ろから菅野の投球を見た。「何も言うことがない」というのが素直な感想だった。
インスラの精度に驚かされた。インスラは「意表使い」が基本のボール。軌道が右打者の体に向かって外れて来るため、打者は本能的に一瞬固まる。勝負を決めきれない時や、右打者が逆方向を狙っているときにこそ有効なボールだ。一方、甘く入れば長打になりやすい性格を持つため「意表使い」が基本となる。
ところが、菅野クラスの威力と曲がり幅があれば、話は別だ。どのタイミングでも使えるのではないかと思えてしまう。菅野は右打者の内角に投げる割合が少なく、打たれるときは外めの甘い球が多かった。インスラやシンカーが頭にあれば、打者は踏み込むことができない。違う配球を組み立てることができる。
昨シーズンまで菅野のボールを受けてきたが、あそこまですべてを兼ね備えている投手を見るのは初めてだった。完成度に加えて、負けん気の強さがある。取り組む姿勢も素晴らしい。今シーズンは20勝してもおかしくない。(サンケイスポーツ専属評論家)
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