12月1日。高梨は日本から約8300キロ離れた北欧のノルウェー・リレハンメルにいた。試合で飛ぶジャンプ2本の時間は合計でも約20秒にすぎないが、準備は午前6時30分の起床からスタート。午前7時から宿泊ホテル周辺をジョギングした。
朝食、化粧などの身支度を済ませると、ホテルから車で15分の体育館に移動。午前10時から、ともに日本代表として転戦する伊藤有希(23)=土屋ホーム=らと2時間、体の動きを確認する。
試合開始1時間55分前の午後2時5分に会場入り。試合で使用するジャンプスーツやスキー板、ブーツなどを控室に置くと、ウオーミングアップを始めた。
気温は氷点下6度。辺り一面は雪景色だ。雪道を約1キロ、ランニング。ガサッ、ガサッと雪の上を走る音のテンポが徐々に速くなる。次に膝の屈伸、上体の回旋、伸脚、開脚の運動などで体をほぐし、30メートルのダッシュ、ケンケン跳び。白い息を吐きながら繰り返した後は、アプローチ(助走)の姿勢や飛び出し動作を確認する。テキパキと40分間、体を刺激する。
ここからが、準備を大切にする女王の真骨頂だ。控室に戻り、アップのウエアからジャンプスーツに着替える際に1分間、持参したゴルフボールを使って自分で足裏のマッサージを行う。「足がほぐれるくらい。自分の感覚を大切にするため」と狙いを説明する。
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