そんな万全な状態で臨んだシーズンだっただけに、一度も1軍出場がなかったことは非常に悔しい。しかし現実はしっかり受け止めている。「年齢的にもファームでずば抜けた成績を残さないと、なかなか(1軍に)上がれない立場。普通にみんなと同じようにやっていたら、来年も上がれない。もっと気合を入れていかないと」。
そんな矢先、矢野2軍監督が就任した。「キャッチャーにはより厳しくなるだろう。でも逆にすごいチャンスだと思った。厳しい分、よりしっかり見てくれるんじゃないかな」。
その矢野監督に、さっそく秋季練習で言われたことに衝撃を受けた。
「1球の集中力です。ノックとかでも絶対にエラーしないぞって球際で頑張る。そういうのができてないイメージがあるって、矢野さんに言われたんです。自分ではそんなこと思ってもいなかったのに、『オマエはそう見られてるぞ』って」
ショックだった。そんなふうに見られていたとは…。しかしすぐに切り替えた。そう見られているのなら、そんなイメージを覆してやろう。球際の執念を見せてやろう。「見てる人は見てる。しっかり反省して、逆にいいように目立っていこうって思った。僕にとってすごい転機になった」。そこに自身の伸びしろを見つけられたし、そういうことをハッキリ言ってくれた矢野監督にも感謝した。
来年は15年目を迎える。「ファームでも出場機会が少ないけど、その中で出た試合は絶対に勝つというのを意識してやっている。山田さんにも言われた。『打とうが打つまいが関係ない。キャッチャーというのは、試合に出たときに勝たないと評価されないポジションだ』って。自分もそう思うし、出た試合は絶対に勝つ。来年のキャッチフレーズじゃないけど、勝ちへの執念は絶対に出していきたい」
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