試合前、フォトセッションに臨む伊達公子(左)、アレクサンドラ・クルニッチ=有明テニスの森(撮影・山田俊介) ジャパン女子オープン第2日(12日、東京有明テニスの森公園)元世界ランキング4位で46歳の伊達公子(エステティックTBC)が現役最後の大会のシングルス1回戦で、世界ランキング67位のアレクサンドラ・クルニッチ(24)=セルビア=と初対戦。0-6、0-6で敗れ、現役生活を終えた。試合後、引退セレモニーが行われ、多くの仲間やファン、関係者が見守る中で思いを明かした。
伊達は「みなさん、きょうは朝から雨が降っていつから試合が始まるか不安の中、駆けつけていただき、ありがとうございました」と笑顔で感謝の言葉。
続けて「とうとう終わってしまいました。やっぱりさみしい気持ちの方が強いかなと思います。試合は、本当にきょうは100%にほど遠いプレーになることは自分の中で分かっていたのですが、本当の勝負の場に立つことができるチャンスを与えていただいて、対戦相手の彼女(クルニッチ)もフルでファイトしてくれたことも、テニスプレーヤーとしてうれしく感じました。自分なりには、とにかく1ポイントでも多く、自分らしいプレーができるようにと、最後まで思ってコートに立ち続けました」と、現役最後となった試合を振り返った。
「こうなると、テニスの難しさというのをすごく痛感しますし、1ポイントの重み、1ゲームの重みというものを本当に強く、大きく感じた試合になったと思います。しかし、これが勝負でありプロテニスプレーヤーのタフさ、厳しさということにつながるということを強く感じました。90年代のファーストキャリア、12年のブランクを経てカムバックし、2度のキャリアを長い時間プレーできたことを本当にうれしく思います。多くの方に支えていただき、最初から最後まで応援してくれたスポンサーのみなさんにも感謝の言葉を伝えたいと思います」と語った。
さらに「私自身、昨年の4月に膝の軟骨移植の手術を受けました。残念ながら膝は元気なんですけれども、肩がどうしても二重苦になってしまうと、膝の不安もゼロではないので、不安を抱えながら、サーブを打ったあとに膝の不安に切り替えてとなると…。練習の中では楽しくできるんですけど、きょうの試合のように、どっちにボールが飛んでくるかとなると、なかなか思うようなプレーができなくなってきてしまったことに、決断をしなければならないと至りました。皆様の前で、こうやってコートにプレーヤーとして立つのは最後となりますが、一度目の引退のときのように、テニスはもう十分、ラケットも握りたくないという日はないと思うので、会場にも足を運んでみなさまと一緒に見続けていきたいです」と心境を明かした。
終始、笑みを浮かべていた伊達だったが、自身の引退セレモニーにかけつけた現役、引退選手たちに声をかける場面では感極まり、涙を浮かべる場面も。最後は「みんなありがとう」と再び笑顔を見せた。
伊達は「私自身、テニスプレーヤーである以上、最後まで勝負にこだわって、負けることはすごく大嫌いでしたし、コートに立つとみんなが『伊達公子は怖い』という印象が強かったんですけど、勝負にこだわるが故だったのでお許しください」と話し、再度関係者へのお礼を述べた。最後に「テニスファンのみなさん、これから日本のテニス、WTAのテニスも応援していただければと思います」とスピーチを締めた。
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