陸上の日本学生対校選手権第2日は9日、福井県営陸上競技場で行われ、男子100メートル決勝で追い風1・8メートルの条件下、21歳の桐生祥秀(東洋大)が日本人で初めて10秒の壁を突破する9秒98で、3年連続3度目の優勝を果たした。
桐生を指導する東洋大の土江寛裕コーチ(43)は、「9秒台の期待をすべて背負ってここまでやってきた。順風満帆ではなかった。(洛南)高校から預かって東洋大のユニホームを着ている間に、10秒の壁を突破できたのは本当にうれしい」とまな弟子の快挙にうれし涙を流した。
桐生は14年春に東洋大に進んだが寮生活になじめず、足踏みが続いた。故障も続いた。14年9月に左太もも裏を痛めて仁川アジア大会代表を辞退。15年5月、関東学生対校選手権で左太もも裏をけいれんして100メートル決勝を棄権した際には、悔し涙をサングラスで隠した。
けがを指導者の責任として周囲に不満を漏らすこともあった。来春の卒業後も2020年東京五輪まで東洋大を拠点に活動する。引き続き指導する土江コーチは「世界で戦うことを考えると、やっとそこで勝負するパスポートを得た。東京五輪へ向け、世界で勝負できるようにしたい」。今後も二人三脚で歩む。
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