ヤクルトの勝利を願う氷川の右腕から放たれた白球が夏の夜空に山なりの軌道を描く。氷川が自身初のストライク投球を披露すると、両軍の応援団からは温かい拍手がわき起こった。
「気合を入れすぎると変な投球になるので、自然体で臨みました」
NHK紅白歌合戦に17回連続で出場する演歌界の貴公子は、ステージとは違う緊張から解き放たれ、ホッとした表情で始球式を振り返った。
この日の氷川はヤクルトのユニホーム姿でマウンドに登場。「きよし〜」の大歓声を受けた白球はホームベース上を通過後、ショートバンドでヤクルト・中村悠平捕手(27)がキャッチした。
氷川の始球式は4度目で、神宮は昨年に続いて2度目。2004年のダイエー-近鉄戦(福岡ドーム)は地面にたたきつける暴投、06年の横浜-巨人戦(横浜)はキャッチャーミットに届かなかった。だが、昨年8月のヤクルト-広島戦では大きく外れながらも初のノーバン投球を披露。そして今回、「平常心を保つために投球練習は当日にスタッフに投じた1球だけ」と独自の調整法で大一番を乗り切った。
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