広島へ向かう金本監督。福留、西岡を投入し、必勝を期す(撮影・二星昭子) 2本の矢で奇跡を起こす! 阪神・金本知憲監督(49)は31日、1日からの敵地マツダスタジアムでの広島3連戦で、福留孝介外野手(40)、西岡剛内野手(33)をスタメン復帰させる意向を明かした。3連戦に勝ち越さなければ、自力優勝の可能性は消滅。DeNAの勝敗次第ではカープにマジックも点灯する崖っぷちから、打ち勝って、はい上がる!!
待ったなし。勝負手を出す時が来た。崖っぷちの大一番を前に、金本監督が満を持して、2本の矢を放つ。
決戦の地・広島へ向かう新神戸駅の新幹線ホーム。福留がスタメン復帰? その問いかけに即答だ。
「状態はみながら…。まあ、行きますよ。(西岡)剛も状態が良かったら行ってもらうし」
満身創痍の福留は7月29日の中日戦(ナゴヤドーム)で決勝の代打2ランを放ったが、ここ4試合連続で、左アキレス腱断裂から復活した西岡は5試合連続で、スタメンから名前が消えていた。
体調面を考慮して…。最近6試合中5試合で相手先発が左腕…。いろんな条件が重なって休んでいただいた大物たち。でも、もう休んではいられない。2人がスタメンにそろえば、実に7試合ぶり。指揮官に言われるまでもなく、2人は出るつもりだろう。
3連戦で勝ち越さなければ、その瞬間に阪神の自力Vの可能性はなくなる。つまり最短消滅は2日(2敗か1敗1分け)。その時点でのDeNAの勝敗によっては、マジックナンバーも点灯してしまう。
「あっ、そうなの。まあ、そういうことは気にせずに」
無頓着を装った金本監督。だが、敵にマジックが点灯して、気分がいいはずがない。まだ8月に入ったばかり。いくら何でも早すぎる。絶対に阻止したい。最低でも勝ち越し。いやいや、本心は3連勝だろう。
2本の矢。コイ退治には相応しい実績を持つ。対広島。福留は今季打率・349。西岡は・364。さらに、復帰しやすい環境も整う。広島先発は野村、大瀬良、九里の右ばかり3人。
「もちろん、もちろん。火曜日はスタートから考えています」
片岡打撃コーチも2人のスタメン復帰を肯定した。同時に、マツダスタジアムでの戦い方の基本を改めて復唱だ。
「あそこは点を取ってあげないといけないからね」
ここまで対戦14試合で7勝7敗も、敵地では4連敗中(1勝4敗)。チーム打率12球団トップの・280を誇る最強カープ打線と渡り合うためには、ノーガードのドツキ合いに耐えうる打線を構成しなければいけない。片岡コーチは「そのためには高山の状態を上げないと」と、もう1人のキーマンの名前も挙げた。右投手に強い新助っ人・ロジャースの4番固定も既定路線。顔がある福留、西岡が加わって、間違いなく迫力は増す。予感もする。何かが起きそうな-。
ドラマチックなシーンに彩られてきた偉大なる金本鉄人伝説。新たなストーリーは10ゲーム差からの逆転Vか。真夏の夜、奇跡は広島から始まる…かもしれない。(上田雅昭)
◎…阪神は最短で2日に自力優勝の可能性が消滅する。広島戦に2連敗すると、残り50試合を全勝しても、99勝44敗(勝率・692)。広島が阪神との残り9試合を全敗しても、他の試合を全勝すれば99勝42敗2分け(勝率・702)
◎…1敗1分けでも阪神は99勝43敗1分け(勝率・697)、広島が98勝42敗3分け(勝率・700)で消滅する
◎…阪神が広島に2連敗した場合、DeNAが中日に2試合で1敗すれば、広島にマジック「36」が点灯。阪神が1敗1分けなら、DeNAが2敗か1敗1分けで、マジック「37」がつく
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