今回は、同世代の作家・演出家の顔合わせというのが企画の始まりだったとのことだが…。
長塚「僕の印象だと前川さんの作品でというのが先に決まっていたと思います」
前川「そうだったかもしれないです。作・演出ではなく作だけでという話をいただいて、そして誰と組みたいかという話があって、では長塚さんにお願いしたいですという流れでした」
どういう理由で長塚圭史の名を?
前川「ここ最近、いろいろな作家さんの作品の演出をやっていらっしゃるんですが、そういう作品を見ていて面白いと思いました。それで自分の作品を委ねてみたいと思いました」
長塚「前川さんは明らかに作家性の高い演劇人だと思うし、最近の僕はどちらかというと演出をする率が高いから必然的にこうなったという気はします」
前川は2014年に『太陽2068』という作品で蜷川幸雄さんの演出を経験したことがある。あの時とはやはりプレッシャーといったものは全然違う?
前川「そういうところはあります。脚本の準備段階から長塚さんとはディスカッションをしてきましたし、稽古に入ってからも意見交換をしながらやっていますので」
準備期間が1年間あったという。
前川「いろいろなアイデアが出て、いろいろ変わっていきましたよね」
長塚「そうですね。変化していきました」
その中でイキウメで初演した『PLAYER』をやろうということになったのは?
前川「夏だから怖い話をしようということになって(笑)。最初はそれくらいの発想でした」
この作品を劇中劇にという発想は?
前川「これは長塚さんから出てきたアイデア。台本を読んで、これをどう伝えるか。伝え方という部分、演出に直結するアイデアなんかは打ち合わせの中からですね」
話していく中で響きあうものがあった?
長塚「『PLAYER』は作品自体が死者を演じるというか、プレイする、再生するというお話だったので、演劇との直結を感じました。一般人の人たちが巻き込まれていくという要素がこの作品にはあるんですが、その物語性だけで押そうとするとシアターコクーンというサイズになると難しいような気がしたんです。演出家というのはそのための装置を投げかけるのが役割。その装置の規模をどれくらいにするかということなども含めてですね。それで劇中劇というアイデアを出したら、前川さんがすぐに乗ってくれたし興味を示してくれたので、そこからどんどん話が進んでいきました。でも別に劇中劇をどうしてもやりたかったというわけではないんです。プレイヤーという作品に最適なものを探っていくという作業の中で劇中劇にたどりついたということでした」
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