だが、前日1日に2安打をマークするとV字回復。この日は一発も含めて2戦連続今季20度目のマルチ安打とした。結果的に1点差に迫られたことを考えても、糸井にとっても、値千金の一発。金本監督も「あれは大きかったですね。これをきっかけにというか、また4月の調子に戻してほしい」と期待せずにはいられない。首位広島と7・5ゲーム差のままだが、これ以上離されるワケにはいかない。開幕直後のように、笑顔でチームを明るく照らす超人が必要だ。
雨でゲームが中止となった春先のある日、ウオーミングアップ前のナインを、ドッと沸かせたことがあった。某若手選手によれば「糸井さんが、平野(打撃)コーチの口笛を横取りしたんですよ。それがおかしくて…」。平野コーチが吹いていたアニメ・ドラゴンボールの主題歌「摩訶不思議アドベンチャー」を遠くにいた糸井が急きょ引き継いで吹き始めたのだという。それだけでチームがパッと華やぎ、若虎との距離はなくなった。4日からは3位DeNAとの3連戦(新潟、横浜)だが、実は超人の口笛レパートリーには筒香の応援歌や、守護神・山崎康の登場曲も入っている。のぼり来る星も、ピューッと吹き落とす。
「いや〜もう、ファンの声援が最後のひと押ししてくれました。きのう(1日)よりきょうの方が大事な試合だと思っていたんで、勝ててよかったです」
久々のアーチにお立ち台で胸をなで下ろした。シーズン折り返しの72試合目で貯金は「6」。もう立ち止まらない。糸井が笛を吹けば、もっともっと虎は踊る。 (長友孝輔)
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