ヤクルト・山田が長年連れ添った相棒と別れを告げた。2012年のオフに出会い、翌年のシーズンから使い続けているドナイヤ社製のグラブ。今季から形も重さも同じで新しいものを使用しているが、実に4年間一度も変えずに愛用してきたグラブをお守りのようにバッグにしまい、遠征にも持参していた。
ところが、6月1日のオリックス戦(京セラ)に同社の村田社長が訪れ、今季から使用しているグラブにも慣れてきたため先代グラブを返すことを決意。山田は「会社に飾ってください」と申し出た。すると、村田社長は「実家に飾ってあげたほうがいい」と提案し、現在は山田の兵庫県の実家に飾られてある。
ドナイヤ社製のグラブはプロ野球選手向けに販売しているものではない。主に市販のスポーツ店で誰でも購入できるものだ。だが、球界トップクラスのプレーヤーとなった山田にとって、ドナイヤ社製のグラブとの出会いは衝撃だった。
「それまではグラブに興味はなかったんです。どのグラブでも一緒だと思っていました。でも、そんなことなかった。使いやすさもあったし、新しい発見もありました」
村田社長は「うちの一つのグラブを4年間も使い続けてくれた。市販である、うちのグラブの耐久性を証明してくれたし、知名度も上げてくれた。本当に自信になります」と感謝感激。山田が、社長の努力を証明してくれたのだ。
村田社長と山田にとって先代グラブはかけがえのない存在だ。村田社長は「使い始めて2軍から1軍に上がって、レギュラーになって。オールスターにも出たし、日本シリーズにも、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)にも出た。彼が成長していく過程にドナイヤのグラブがあって本当にうれしい。グラブのおかげで、スターダムを駆け上がるところを近くで見られました」と感慨深げに振り返った。
ドナイヤ社製のグラブとの出会い。それまでグラブに興味のなかった山田は変わった。グラブの手入れにこだわりを持つようになり、今では泥や汚れが一つもない、一品に仕上がっている。
「だんだんと自分のものになってきました」と山田。打撃の調子は上がらないが、悲観することはない。苦楽をともにしてきた相棒と別れ、新しい幕が開ける。その先に必ずや希望の光はある。(赤尾裕希)