生まれ育った街に『独立記念日』があるなんて知らなかった。8月1日、東京・練馬区が独立70周年を迎える。お隣の板橋区から1947年に分離独立。「23番目」の区が誕生して70年のメモリアルだ。
「中村剛也と西武鉄道は練馬区独立70周年をお祝いします」。区内の役所や駅に、こんなポスターがある。主砲・中村や雄星、浅村ら西武の主力選手が登場。聞けば、地域密着の観点から球団側から協力を申し出たのだという。
東京が本拠地のヤクルト、巨人は都心を中心に地域活動をしていることから、西武は親会社の鉄道沿線の「練馬地域」に注目。来季は球団の所沢移転40周年を迎えることもあり、ファン掘り起こしの重点地域として期待を寄せているという。
プロ野球において「地域密着」の意識が高まったのはここ10年ほど。北海道、広島など元来地元アイデンティティーが根ざす地方都市より、地域への帰属意識が薄い首都圏のチームほど難しさに直面してきた。
軒並み観客動員数が増加するなど好況の昨今では、東京のチームの営業担当者ほど「スポンサーが集まらない」と嘆く。地元球団へのサポートに広告価値を見いだす「地元企業」がなく、シビアな「ナショナルクライアント」に掛け合わざるを得ないからだ。
一方、空前の人気のDeNAでは、横浜を脱出して東京に住居を移す主力選手も。いわく「横浜では顔が知られすぎているから」。地域密着の成功例として、うれしい(?)誤算だろう。
さて、練馬独立の歴史には、実は熱〜い闘争があった。練馬区独立60周年記念誌「ねりま60」によると、最初に声が上がったのは戦前の32年。戦後はGHQに陳情するなど独立運動を展開し、反対派を説き伏せて宿願を果たした。独立を求めた大きな要因は、交通の便の悪さ。住民の声が紹介されている。
「板橋区役所に税金を納めにいくのに、税金より交通費の方が高い!」
確かにそれは捨て置けぬ。練馬で育ちウン十年。熱い独立運動に思いをはせ、皆無だった地元アイデンティティーが少し、頭をもたげた。