(セ・パ交流戦、阪神2-4日本ハム、1回戦、日本ハム1勝、2日、甲子園)甲子園は試合前から若い女性の黄色い声に包まれていた。それも単なるナントカ女子という騒ぎではない。球場の整理員が大声で「ここからは入れませんッ!」と何度も叫ぶ。
驚いたのは編集委員上田雅昭だ。長く阪神を取材してきて、確かに黄色い声援にはなれているが「それが尋常ではないんや。なんでかわかる?」という。こっちは大阪・難波の珍獣新聞社の編集局の窓際だ。甲子園にパンダが虎のユニホームを着て現れたとしてもわからない。第一、クイズなんかやってるヒマはない。
すると上田は「どうせ名前を言うても、おじさんは知らんでしょう?」とぬかした。だったら俺に聞くな。「ウフフ…防弾少年団が始球式をするんですョ」。なぬッ、防弾チョッキがシキュウ式?「やっぱりなぁ…。今、大人気の韓国の男性グループですヮ…」と上田はタメ息まじりだ。
おい、それが岩貞のピッチングにどう影響するんだョ。それに福留がスタメンからは出ない打線で迫力はあるのか? 日本ハムは中田翔が当たりを取り戻しているし、3番には4割打者近藤がいるし、5番は今夜は北新地あたりでトロの握りで一杯やろうと元気いっぱいのレアード大将だ。どうみても…防弾チョッキが必要なのは阪神じゃないのか? とちょいと弱気一辺倒の気分でした。
その頃、ナゴヤドームのネット裏のビジター室では、楽天・星野仙一副会長が楽天の練習を眺めながらひょいっと振り返って「おい、ミッキー!」と声をかけた。ミッキーとは阪神の平田コーチのニックネームだ。ナゴヤドームには、まさか平田さんはいない。ン、ひょっとして俺…と、そこには足の短いミッキーことドラ番三木建次がキョトン。三木とミッキーとトラ番時代からいつもまぎらわしかったのだ。「好調ですね…」と三木。星野さんも当然、上機嫌だ。そこに通算2000安打にあと2の荒木雅博選手が恩師でもある星野さんにあいさつに現れた。すると星野さんはしかめっ面をして「きょうは(2000安打を)決めろよ。1本は自力で打てョ、ウフフ…」とニヤッ。つまり、2本もサービスはしないぞ! というジョークだ。三木は「星野さんの温かさはそんな激励となっていました。古巣のナゴヤドームで3日の試合も放送のゲストで特別出演するらしいですョ」という。交流戦のよさはこういう「接点」があちこちであり、その人間交歓の場でもあることだ。
阪神は千葉から移動しての日本ハム戦だから、キャップ阿部祐亮は金本監督とともに羽田から空路で帰阪した。空港で10分便が遅れた。すると監督はアナウンス前に「もう10分遅れるぞ」と予言して、その通りになった。阿部が「ドンピシャですね」といったら、ニコッとして「采配もこうだといいけどなぁ…」。
ああ、それが岩貞の踏ん張り、原口、糸原で2点…だが皮肉にも薄氷を踏む展開でスクイズの成否がドタン場で明暗を分けた。ここが前夜までのロッテと日本ハムでは歯応えが違った。満員のマンモスに悲嘆の吐息が…。